■INDEX■
■9月1日は“防災の日”今こそ見直したい、我が家の備え
●南海トラフ巨大地震は、30年以内に70~80%の確率で発生
●家の中の安全対策をしよう!
●非常持ち出し品を準備しよう
●備蓄は最低3日、できれば1週間分を
■「リビング防災・減災検定」に挑戦しよう!
■協賛各社の取り組みを紹介
9月1日は“防災の日”今こそ見直したい、我が家の備え
いつ起こるか分からない「地震」。被災しても冷静に行動できるよう、家庭でできる備えについて一緒に見直しませんか。
※この記事はリビングかごしま2024年8月31日号の特集を再編したものです。
南海トラフ巨大地震は、30年以内に70~80%の確率で発生
教えてくれたのは・・・
鹿児島地方気象台
南海トラフ地震防災官
茅野 真一郎さん
2024年8月8日に発生した日向灘を震源とする地震では、鹿児島県内でも最大震度5強と津波を観測。気象庁は巨大地震発生の可能性が高まったとして、初の南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を出して注意を呼びかけました。
「南海トラフ地震は、100年から150年間隔で繰り返し発生している地震で、前回から80年経過しています。マグニチュード8~9級の地震が、30年以内に70~80%の確率で発生する恐れがあります」と鹿児島地方気象台の茅野真一郎さんは話します。
「鹿児島県の想定では、最も影響が大きいケースの場合、鹿児島市内で最大で震度6弱、津波は最大で約2m発生すると予想されています」
南海トラフ地震臨時情報に伴う防災上の呼びかけは終了しましたが、巨大地震の可能性がなくなったわけではありません。「地震はいつ起こるか分かりません。そのため、備えをしておくことが何よりも重要です。まずは、一番過ごす時間が長い〝自宅〟の対策から始めてみて」と茅野さん。
家の中の安全対策をしよう!
地震・津波の発生に備えて、家庭でどのような対策ができるのか。鹿児島大学教育学部准教授の黒光貴峰さんが、リビング読者の今德直子さん宅を訪れアドバイスしました。
教えてくれたのは・・・
鹿児島大学教育学部
准教授
黒光 貴峰さん
住居学・家庭科教育学専門。
防災士の資格を持ち、防災教育に力を入れている
家具は向きや配置を工夫し、転倒防止対策を!
家庭でできる備えとして取り組みたいのが、家具の転倒防止対策です。
「早朝に発生した阪神・淡路大震災では、多くの人が倒れてきた家具の下敷きになって亡くなりました。就寝中は素早い対応ができないため、特に寝る場所の周辺には大きな家具を置かないのがベスト。大きな家具がある場合は、就寝場所に倒れてこないよう向きや配置を工夫したり、転倒しないように器具で固定したりしてください」と黒光さん。
今德さん宅の寝室をチェックすると、ベッドの上へ倒れてくる位置に大きな本棚が。さらにその上に小さな本棚が重ねて置かれており、危険な状態でした。黒光さんのアドバイスで、上の茶色の本棚は片付け、白い本棚をベッドと重ならない位置まで移動して、天井との間に”突っ張り棒”を設置しました。
出入り口に大きな家具を置かない
「今德さんのお宅は玄関に物がなく、すっきりしていて、とてもいいです」と黒光さん。
玄関や部屋の出入り口周辺に大きな家具を置くと、倒れてドアが開かなくなるなど、逃げ遅れる可能性が高まります。
食器は中→大→小で重ねると割れにくい
大・中・小の3サイズの皿を積み重ねて収納する場合、下から大→中→小の順で積むことが多いですが、これを中→大→小の順にすると、揺れても皿が飛び出ず割れにくくなります。
「中皿の上に大皿を重ねると、大皿が動く〝遊び〟の部分が少なくなり、安定しやすいです」と黒光さん。
テレビや窓ガラスなども対策を
テレビなどは転倒を防ぐため粘着性の耐震マットを下に敷く、窓ガラスには割れたガラスが飛び散らないよう飛散防止フィルムを張る、などの対策をして備えましょう。
非常持ち出し品を準備しよう
避難する時に持ち出す「非常持ち出し品」や、自宅に備える「備蓄品」を準備することも、重要な備えです。
今德さんの家では、リュックサックの中に非常持ち出し品を準備し、寝室に置いていました。中には水、アルファ米、スープなどの非常食と、携帯トイレ、ヘッドライト、防寒用のエマージェンシーシートなどが入っていました。黒光さんは「携帯トイレや防寒用シートもあり、いざという時に活用できそうです。さらに、スマホのモバイルバッテリーや常備薬、小銭なども準備するといいですね」とアドバイス。
皆さんも下記のリストを参考に準備しませんか。
備蓄は最低3日、できれば1週間分を
大きな災害が起こりインフラが寸断された場合、支援が届くまでの少なくとも1週間は、誰にも頼らず暮らせるように備えることが「備蓄」です。
「無くなったら困る物を買い置きして、古い順から使うようにすればよいだけ。いつもより少し多めに、食品や日用品を買い置きしておきましょう。一般的な家庭の場合、冷蔵庫の中の食料だけでも数日食べつなぐことができます」と黒光さん。
また、断水になった場合に備え、いざという時はお風呂に水をためておくこと。停電やガスの停止に備え、カセットコンロを用意しておくのもポイントです。乳幼児や高齢者のいる家庭では、災害時にすぐ手に入らないミルクや常備薬などは多めに用意を。なお食料品だけでなく、電池や薬などの使用期限も、定期的にチェックしましょう。
〝もしも〟を想定し家族で確認を
行政の「ハザードマップ」なども改めてチェックし、避難場所や避難経路など住んでいる地域の防災情報を確認しておくことも大切です。
黒光さんは「いざという時にどう行動し、どこに避難するのか。家族がバラバラになった時の連絡方法や集合場所なども、事前に家族で決めておきましょう」と呼びかけます。
「リビング防災・減災検定」に挑戦しよう!
クイズに答えながら防災・減災について学べる「リビング防災・減災検定第1弾」を実施。正解した人の中から抽選で5人に「防災グッズ」をプレゼント!
協賛企業と各社の取り組みを紹介
県下トヨタ販売店は、県と包括連携協定を締結。災害時には電源供給可能なプラグインハイブリッド車などを避難所等に派遣します。
自然災害に対し、「そなえ・まもり・ささえ」を柱に、鹿児島の気候風土に合った〝ひとつ上の安全基準〟を備えた防災住宅をご提案。
災害時に避難所へダンボールベッドを届ける協定を県内の市町村と締結し、防災訓練では組み立て方の講習などを実施しています。
標準仕様で「耐震等級3」を実現。そこに満足することなく、さらに実験を重ね、建築基準法が定める耐震性の2倍の強さの家をお客さまに届けます。
鹿児島日産は、災害による停電が発生した際に電気自動車を派遣し、電力供給で携帯電話の充電や、暗い場所にも明かりを提供します。
住まいの保障(火災共済)から事業を開始。これまでの災害対応の中で得た教訓と経験をもとに、防災・減災の普及活動を展開しています。
津波・洪水に備えた止水板の設置訓練、観覧車救出訓練、消防署と連携した大規模防災訓練を実施しています。津波避難ビルに指定。
災害時には九電グループ一体で、停電の早期解消と情報発信に努めています。停電に関する情報は「停電情報提供アプリ」で迅速にお知らせします。
防火外壁を標準搭載し、全棟省令準耐火構造で建築。屋根材や工法を工夫するなど耐震性も確保した住まいを提案しています。