
南日本リビング新聞社が、県内企業による協賛の下、女性の事業や取り組みを表彰する「かごしまキラリ大賞」。第1回の開催となった今回、97人がエントリー。注目を集めた読者投票を含む、厳正な審査の末、6人の受賞者が決定しました。その〝キラリ〟輝く素顔を紹介します。


女性障がい者専用のグループホームを2020年に設立した瀬戸川琴美さん。「精神科病院での看護師時代、女性障がい者の生きにくさや自立の困難さを目の当たりにしました。障がい者の天真爛漫(らんまん)な笑顔を守り、自分らしく暮らせる場を作りたいと思ったのがきっかけです」
障がい者だけでなく、刑務所出所者等、他の施設・病院に受け入れを断られるなど、複雑な問題を抱える女性たちを24時間365日体制で支援。何度も深刻な事態に直面しながら「困っている人ほど助けを求められない。私たちが力になろう!」と、強い使命感で支援の幅を広げてきました。 特にシェルター事業についても「ニーズが高く、県での委託事業化の必要性を感じています」と話します。
今では3拠点となったのも「共に働く仲間や夫の協力のおかげ」と話します。昨年開設した就労継続支援B型事業所のカフェでは子ども連れも可能。「3歳の息子も多様な人との交流を楽しんでいます」と笑顔に。「これからも誰もが輝ける場を作り続けたいですね」

女性が活躍する場を提供地道な活動で地域に貢献
利用者が社会と関わる訓練場所として就労支援施設も設立し、垣根なく交流、活躍できる場を提供。審査会でも「20代で起業する行動力、さまざまな困難事例を受け入れる地道な活動は、地域貢献度が非常に高い」と評価されました。

【ランマン】
鹿児島市草牟田4-18
TEL 099-294-9757
https://lamp-runman.com/


イノシシや鹿など、野生鳥獣による農作物被害対策として期待されるジビエ事業。2022年6月から日置市日吉町で展開する「レイビッグジャパン」は、100人を超える猟友会の協力の下、徹底した品質管理で〝鹿児島ジビエ〟の製造に取り組んでいます。そのこだわり肉は、関東の飲食店を中心に販売し、高評価を得ています。
峯夕子さんがジビエに興味を持ったきっかけは、愛犬の食事に栄養価が高い鹿やイノシシの〝野生肉〟を勧められたこと。一方、野生鳥獣に目を向けると、捕獲した鳥獣の大半が埋設処理される現実を知り、ショックを受けます。「有害鳥獣とはいえ、命が粗末に扱われるのは忍びない。新鮮なジビエ肉のおいしさは飲食店シェフのお墨付き。ならば、栄養価の高いジビエを食料自給率の低い日本で食資源として広めたい」と事業に乗り出しました。
始めて約3年。「全国では学校給食にもジビエを活用する取り組みが広がっています。今後、鹿児島でも活用してもらえるよう尽力します」

販路を広げ、ジビエ事業を円滑に
男性社会のイメージが強い猟友会。当初はなかなか話を聞いてもらえず、持ち前のガッツで何度も足を運び、メンバーとの関係性を築きました。審査会では「ジビエ活用が農作物被害の抑制や猟友会への援助、雇用の促進活動が地域貢献につながる」と高評価。

【鹿児島ジビエ研究所 REIBIG JAPAN】
日置市日吉町吉利7272
TEL 099-295-4666
https://www.reibig-japan.com


知覧茶コーディネーターとして生産者や茶商、販売業者等をつなぎ、知覧茶と地域の課題解決に奮闘し続けて6年。ブランド開発や取引拡大に向けたイベント開催に奔走する川口さん。
東京で地元・鹿児島の移住をサポートしていた際、お茶の認知度の低さに衝撃を受けたことから、茶業の課題を意識し始めます。「生産者の熱い思いを知り、好きな知覧茶を守らなければと使命感が生まれ、南九州市へ移住を決めました」
ところが、移住して半年、左足に悪性軟部腫瘍というがんを発症。「病室でお茶をいれると、気付けば人だかりが。人との縁を結ぶお茶の力を再認識しました」。その気付きは、移動式コミュニティーカフェや地域の拠点作りに発展します。
過疎化を見据え、地元高校生に授業も実施。「生産者が自走できるよう、PRできる場を作り、人と人をつなげるのが私の役目。今後も知覧茶とまちの魅力を発信していきます!」
【tottoco】
メール/toko.kawaguchi@gmail.com
Instagram/@toko_kawaguchi

発信力を武器に、茶業の活性化に尽力
生産者向けにオンラインショップの運用や情報発信のレクチャーをしてきた川口さん。審査会では「県の荒茶生産量が日本一になった今こそ、お茶のPRが重要。知覧茶を盛り上げるためにも応援していきたい」と支持されました。



「施術後、きれいになると皆さんの表情がパッと明るくなるんです。その笑顔を見たくて続けています」と話すのは訪問理美容きずなの中川佳世さん。9年前に開業し、今では、100を超える介護施設や病院、自宅などを定期的に訪問し、カットやカラー、パーマなどを行っています。
鹿児島市内の理容美容専門学校を卒業後、大阪の美容室に就職。「きっかけは、母親が61歳で若年性のアルツハイマー型認知症になったことでした。髪をカットすると昔の母の笑顔に会うことができてうれしかったのを思い出します」と笑顔。
利用者の大半は、高齢者やベッドに寝たきりの人など、一人ひとりの状況は異なります。そのため、介護職員基礎研修課程を修了し、スキルも磨きました。高齢化でますます増えるニーズ。「質の高いサービスを提供することでたくさんの人を笑顔にしたいです」

コロナ禍でもあきらめないスキルアップで前向きに!
コロナ禍では、施設への立ち入りが制限され仕事が減少しました。しかし〝今こそ学びの時〟とスタッフのスキルアップに力を入れるなど、前向きな気持ちを忘れない中川さん。審査会でも「スタッフの育成にも取り組むなど、今後の成長に期待が持てる」と評価されました。

【訪問理美容きずな】
鹿児島市西谷山3-2-8-102
TEL 099-267-3883
https://houmon-kizuna.com/


「この仕事の魅力は、この子たちがどんな大人に成長するのかを楽しめること」。そう笑顔で話すのは鹿児島市で0~5歳児のインターナショナルスクール、英会話スクール、留学支援事業などを手がける「ラジャ」のCEO福島さりいさんです。14歳で単身渡米し、一人ひとりの個性を尊重する世界の価値観と出合ったことで、「日本の教育を変えたい」と事業を展開。
独自の〝幼保統一カリキュラム〟を作り上げ、質の高い保育に加え、働く親を支援するサービスも提供。保護者から支持される人気園に成長しました。「子どもが人間性の土台を豊かに育む〝環境づくり〟に力を入れています。子どもたちがラジャに通ったことを自慢できる園でありたいですね」
世界共通の教育プログラム「国際バカロレア」の認定校を目指して奮闘中。「認定後は、インターナショナルスクールを小学・中学部まで拡張したいと考えています」

働きやすい環境や人材育成にも注力!
海外での研修制度など、職員の育成にも注力。入社初日に有休を付与したり、職員の子は低料金で入園できたりと働きやすい職場です。「子どもへのグローバル教育だけでなく、職員が生き生きと働ける環境も素晴らしい」と評価されました。

【RaJA】
鹿児島市高麗町40-39
TEL 099-204-7730
https://www.rga-ce.com/


〝屋久島あるあるアクシデント〟をはじめ、観光名所や名産品などが盛り込まれた「やくしまの旅ボードゲーム」。構想から販売まで、約7年の年月をかけて完成しました。
悪天候でがっかりする旅行者の姿を見てきた村松さん。「雨の日もボードゲームを囲むことで、旅の仲間や家族、旅行者同士の交流の場になっています。リアルな屋久島を知ることのできるガイドブックの役割も担っていますね」
【読者投票リポート】
読者投票で977票、キラリ女性にエール!
今回、最終審査に進んだ候補者9人を紙面で紹介して読者投票を実施したところ、977票が寄せられ、「共感した」「応援したい!」といった応援コメントが数多く届きました。読者の支持を集め1位に輝いたのはリフォーム会社を経営する永濵真由美さん。暮らしに寄り添う視点が支持されました。今後も女性たちの輝く未来を一緒に応援していきましょう。 ご協力ありがとうございました。
【読者投票1位】エムリング 代表取締役 永濵 真由美さん
【読者投票2位】鹿児島ジビエ研究所 REIBIG JAPAN 代表 峯 夕子さん
【読者投票3位】しまりす村 代表 村松 佳子さん
【審査会リポート】
3月に行われた最終審査会では、エントリーシートを基に協議しました。「社会ニーズに寄り添う活動」「地域に密着しながら広がりも見せている」などの声が上がり、先見性・独自性・地域貢献性・持続性・応援度の項目で審査。受賞者6人が決定しました。「鹿児島を元気にする女性たちを今後も応援したい」と熱い期待が寄せられました。
【審査員】
・鹿児島市インキュベーション・マネージャー 片平 成さん
・鹿児島市産業創出課 安永 めぐみさん
・鹿児島大学男女共同参画推進センター 八代 利香さん
・鹿児島相互信用金庫 中崎 克樹さん
・鹿児島トヨタ自動車 上野 沙弥香さん
・クオラリハビリテーション病院 谷川 智子さん
・城山観光 秋田 史朗さん
・スズキ自販鹿児島 加治屋 浩幸さん
・南日本リビング新聞社 西村 尚子
4月13日(日)は表彰式&キラフェス開催
いよいよ4月13日(日)は、「かごしまキラリ大賞」表彰式と同時に無料イベント「かごしまキラフェス」が開催です!
当日は、前身の「キラリ女性大賞」の受賞者が出演するステージイベントや、今回エントリーいただいた方々のマルシェブースが出展されます。
ほか、抽選会など楽しいイベントが満載ですよ。読者の皆さんも参加して、一緒に盛り上げましょう。会場でお待ちしています。
◆第1回 かごしまキラリ大賞 表彰式&かごしまキラフェス
【開催日時】4月13日(日)10:00~15:00
【場所】SHIROYAMA HOTEL kagoshima 2階クリスタルガーデン
住所:鹿児島市新照院町41-1
【参加料】無料 ※当日参加可能です
▼ 「かごしまキラフェス」の詳細は下記のバナーをタップ ▼

最終審査に進んだ候補者
9人を紹介
鹿児島でさまざまな事業や活動を行っている〝キラリ女性〟に注目。
【エントリーNo.1】
菓子の店 おかしもぜ 代表
窪田 和代さん(40歳)
“ジャム作りで食品ロス削減&地域活性化”
窪田さんが営む「おかしもぜ」は、食品ロス削減に尽力する菓子店。廃棄される規格外果物を〝加工して生かせる〟ジャムに着目しました。高品質なジャムを提供するためにフランスで修業し、帰国後に工房を開設。2023年には、地元産の規格外のサワーポメロを使用したジャムが、イギリスのマーマレード世界大会で金賞を受賞しました。地域特産品の知名度アップのために農家とも密に連絡を取り、地域活性化にも力を入れています。


【エントリーNo.2】
ランマン・あまね 代表取締役
瀬戸川 琴美さん(30歳)
“女性障がい者を支援、誰もが輝ける社会へ”
女性障がい者グループホームの代表を務める瀬戸川さん。看護師として働いた経験から、女性障がい者の尊厳を守りたいと2020年に創業しました。また、社会と関わる訓練場所として、24年に就労継続支援B型事業所を設立。さらに、自主事業でシェルターも運営しています。困っている人の力になりたいと、さまざまな相談にも毎日対応。「〝女性のライフストーリーを応援する!〟が企業理念。自分らしく暮らすお手伝いをします」


【エントリーNo.3】
RaJA CEO
福島 Sallieeさん(40歳)
“0歳からのインターナショナルスクール”
独自の「幼保統一カリキュラム」で、0~5歳のインターナショナルスクール、英会話スクール、留学支援会社を運営。子どもの頃から多言語・多国籍・多文化の環境で言語能力と国際感覚を育むことで、自立を目指します。 スタッフの人材育成にも力を入れており、働くママを後押しするさまざまなサービスは多くの保護者から支持されて、人気の園に成長。14歳で単身渡米した経験から、県内の中高生へ講話や授業も行うなど地域貢献に尽力。


【エントリーNo.4】
エムリング 代表取締役
永濵 真由美さん(48歳)
“女性目線で寄り添う住宅リフォーム”
女性営業スタッフを中心とした「相談しやすいリフォーム会社」を目指して2020年に創業した「エムリング」。永濵さんは「女性ならではの視点と、細やかな提案が私たちの強みです。リフォームは単に家を直すだけでなく、その家で過ごす家族や友人との時間を豊かにするお手伝いだと思っています」と話します。また、マルシェの開催やレンタルスペース事業を通して、女性起業家やクリエイターが活躍できる場の創出にも取り組んでいます。


【エントリーNo.5】
cafe+zakka CHABANA 茶花 店主
吉永 めぐみさん(58歳)
“防災は明るい未来への取り組み”
桜島を眼前に望む易居町に、カフェ併設の防災アンテナショップをオープンして1年。東日本大震災をはじめ被災地でのボランティア体験から、「暮らしの防災アドバイザー®」として防災情報を発信しています。「防災は明るい未来への取り組み。おいしいものを食べ、おしゃべりしながら自然と暮らしに役立てるカフェスタイルがこだわりです」。〝災害に強い人になろう〟をスローガンに、目指すのは「鹿児島を、楽しい防災チャレンジ都市に!」


【エントリーNo.6】
訪問理美容きずな 代表取締役 CEO
中川 佳世さん(40歳)
“訪問理美容を通じて心も笑顔に!”
約100カ所の介護施設や病院、個人宅を訪問し、高齢、育児、介護などで外出が困難な人に向けて理美容サービスを提供。認知症になった母親の髪をカットすると、昔のような笑顔を見せてくれたことがうれしく、同じような思いをしている人に笑顔を届けたいと始めました。開業9年目で、思いを共有するスタッフも7人に。「今後は老舗百貨店とコラボして洋服の移動販売もしたい。〝髪の次は洋服を〟と皆さん、おしゃれに意欲的ですよ」


【エントリーNo.7】
しまりす村 代表
村松 佳子さん(52歳)
“リアルな屋久島の旅をボードゲームで再現”
博物館のスタッフとして長年勤務してきた村松さん。年間25万人ほどの観光客が訪れる屋久島ですが、天候により旅の予定を変更せざるを得ない状況も多く、荒天時のアクティビティー提供は、宿や施設の大きな課題でもありました。そんな時「残念な状況でも楽しめるものを」と考案したのが「やくしまの旅ボードゲーム」。観光名所や名産品などに加え、〝屋久島あるあるアクシデント〟も盛り込まれ、屋久島の魅力を楽しく発信しています。


【エントリーNo.8】
鹿児島ジビエ研究所 REIBIG JAPAN 代表
峯 夕子さん(48歳)
“高品質〝鹿児島ジビエ〟の魅力を広めたい!”
「イノシシや鹿、アナグマなど、栄養価の高いジビエを食料自給率の低い日本で食資源として広めたい」と3年前に開業しました。100人を超える猟友会の協力の下、徹底した品質管理で高品質の〝鹿児島ジビエ〟の製造に取り組んでいます。こだわりの肉は関東の飲食店を中心に販売し、高評価を得ています。「今後は精肉だけでなく加工品の商品開発やペット用の県産野菜と合わせた主食用フードも開発していきたい」と意気込みます。


【エントリーNO.9】
tottoco 代表
川口 塔子さん(34歳)
“知覧茶の魅力を広め、南九州市を元気に!”
首都圏で地元・鹿児島の移住相談を受けていた川口さん。鹿児島のお茶の認知度の低さに衝撃を受け、「茶業の現状を知りたい」と、知覧茶の産地・南九州市へ移住。そこで生産者の熱い思いを知り、ブランド開発や取引拡大に向けたイベントの実施に伴走。過疎化・後継者不足を見据え、地元高校生に知覧茶の魅力を伝える授業を行うなど、持続可能な茶業を目指して日々奮闘中です。「知覧茶とまちのファンを増やしていきたい」と話します。


■主催:南日本リビング新聞社
■協賛:鹿児島相互信用金庫、鹿児島トヨタ自動車、クオラグループ、
SHIROYAMA HOTEL kagoshima、スズキ自販鹿児島(※五十音順)
■後援:鹿児島県、鹿児島市、鹿児島銀行、鹿児島信用金庫、南日本銀行