
指宿駅から車で4分ほど走ると、「御菓子司 鳥越屋」が見えてきます。ここは1919年(大正8年)に創業し、四代にわたって受け継がれてきた老舗の菓子屋です。



木の温もりを感じる外壁に、矢切りには赤い鳥のロゴが。店内に入ると、愛らしい洋菓子や懐かしい味わいの和菓子がずらりと並び、迎えてくれます。店内にはイートインスペースがあり、その一角が縁側をイメージした小上がりの空間も。そこには、二代目の婚礼の際に、持参した嫁入り道具の箪笥が置かれ、「鳥越屋」の長い歴史を物語っています。
菓子もまた、創業当時から変わらぬ味のものや、地元の食材を生かしたものなど、「鳥越屋」ならではの歴史が息づいたものばかりです。

総理大臣賞を受賞した歴史ある銘菓「いぶすき路」



サツマイモ餡の焼きまんじゅうにシナモンをまぶした「いぶすき路(じ)」は、昭和34年に全国菓子大品評会で総理大臣賞を受賞した、歴史ある銘菓です。
いぶすき路のおいしさは、なんといっても、サツマイモをベースに作られる餡。ほっこりとしたサツマイモ本来の甘さが引き出されています。この味が完成するまでには、二代目による試行錯誤がありました。
包装を開ける前からふんわりと香るシナモンが、サツマイモ餡の自然な甘さを一層引き立て、しっとりとした口あたりの菓子です。

子どもも大人も笑顔に。「鳥越屋」の洋菓子

冷蔵ショーケースには、チーズケーキなどの洋菓子が並びます。その中の「いぶすきなめらかプリン」は、シンプルな素材で作られた、なめらかな口あたりが魅力です。そのままでも美味しく、カラメルをかけるとほろ苦い甘みが加わり、より深い味わいを楽しめます。


◆全国からファンが訪れる、愛らしい「たぬきケーキ」

洋菓子の中でも目を引くのが「たぬきケーキ」です。一つひとつの違う表情は、ほっこりする可愛さで笑みがこぼれます。
「たぬきケーキ」は、昭和40年から50年代ごろに全国で流行ったものの、今では作るお店も減っていると言います。それでも今なお根強いファンが全国をまわり「鳥越屋」にも訪れるそうです。

たぬきケーキは、形も素材もそのお店によってまったく異なり、その個性が魅力。「鳥越屋」のたぬきケーキは発売当時のまま、土台はスポンジで、顔はバタークリームをチョコでコーティングしています。バタークリームのコクと口どけは、どこか懐かしく、新鮮みを感じます。
このときは、知覧茶をホワイトチョコに混ぜた緑色の「たぬきケーキ」もありました。世代を超えて楽しめる愛らしいケーキです。
創業当時からの味のものや、地元の食材で使ったものまで「鳥越屋」の和菓子


鹿児島の郷土菓子と言われるふくれ菓子や、定番のどら焼きなどの和菓子が並びます。その中には指宿の特産品で作った和菓子も。 「そら豆のどら焼き」は、そら豆のペーストと白餡を混ぜたもので、隠し味に醬油を使ったふた口サイズのどら焼きです。「オクラの蒸しどら」は、オクラの粉末を入れた生地をふんわりと蒸した皮でこしあんを挟んでいます。

◆創業100年以上の老舗のおいしさを「湯豊もなか」



真っ白なもなかにハイビスカスがあしらわれた「湯豊(ゆぶ)もなか」は、最も歴史のある和菓子です。中には、ダイダイの蜜漬けを一緒に炊き上げた白餡が入っています。その鮮やかな色と、ふんわりと口に広がる爽やかな風味が魅力です。
甘さも上品で、おもてなしの茶菓子にはもちろん、贈答品としても喜ばれます。長く愛され続ける味わいを、時代を超えて楽しめることに感慨深さを感じました。
◆素朴な鹿児島の菓子、自然な香りと甘さを楽しむ「よもぎ餅」

よもぎをたっぷりと使った「よもぎ餅」は、深緑の色が黒に見えるほど。その生地に月桃の葉を敷いて蒸しています。包装を開けた瞬間、よもぎの爽やかな香りが広がります。もっちり、ねっとりとした口あたりに、ほんのり感じる甘さがクセになる菓子です。

「口に入れるものが体をつくる」という原点を大切にしている「鳥越屋」の菓子は、どれもシンプルな材料で作られたやさしい甘さが特徴です。店内には、購入した菓子をその場で楽しめるイートインスペースがあり、菓子と一緒に楽しめるドリンクメニューも用意されています。心温まる和菓子とともに、素敵なひとときをお過ごしください。指宿に遊びに行く際は、ぜひ立ち寄ってみてください。
御菓子司 鳥越屋
- 住所
- 鹿児島県指宿市湯の浜4丁目11−9
- 電話番号
- 0993-22-3878
- 営業時間
- 10:00~18:00
- 定休日
- 火曜
- 可能な支払い方法
- 現金・クレジットカード・電子マネー
- 駐車場
- 有
- @ibusuki_torigoe_h