特攻隊員の“生きた時間”にふれる。勇ましい姿の奥にあった“等身大の人生”を見つめる特別展
「特攻隊員」と聞くと、飛行服姿や遺書の言葉から、どこか遠い存在と感じる人もいるかもしれません。しかし、彼らも私たちと同じように、家族に愛され、未来を模索しながら懸命に生きていた若者でした。
知覧特攻平和会館では、3人の特攻隊員に焦点を当てた特別企画展「所蔵資料から見る 特攻隊員の生い立ち」を7月19日~10月31日に開催。本企画展では、彼らの手紙や写真、遺品を通して、出撃に至るまでの歩みや思いに向き合います。


3人の特攻隊員を3期に分けて紹介
◆展示資料から一部紹介
【7月19日~9月1日】穴澤利夫大尉― 学徒出身の特攻隊員 ―

穴澤利夫(あなざわとしお)
・福島県出身
・第20振武隊所属
・4月12日、知覧基地から一式戦闘機「隼」にて出撃。享年23歳
穴澤利夫大尉は、昭和15(1940)年に中央大学専門部法学科に入学。翌年、図書館講習所で婚約者となる智恵子さんと出会い、交際を始めます。しかし、昭和18年に学徒出陣で繰り上げ卒業となり、軍に入隊。昭和19年に特攻隊に選ばれ、翌年4月12日、桜の枝を振る女学生たちに見送られながら、沖縄の空に向かって飛び立ちました。

【9月2日~9月30日】池田元威大尉― 陸軍士官学校出身の特攻隊長 ―

池田元威(いけだもとたけ)
・大阪府出身
・第56振武隊所属
・5月6日、知覧基地から三式戦闘機「飛燕」にて出撃。享年21歳
池田元威大尉は、陸軍幼年学校から士官学校へ進み、特攻隊の隊長を務めた将校です。弟一人、妹二人の四人兄弟で育ち、父を早くに亡くした後は、母の苦労を支えながら成長。手紙には、弟や妹たちへの気遣いもたびたび記されています。

【10月1日~10月31日】久冨基作大尉― 幹部候補生出身の特攻隊員 ―

久冨基作(ひさとみ もとさく)
・福岡県出身
・第76振武隊所属
・5月11日、知覧基地から九七式戦闘機にて出撃。享年22歳
久冨基作大尉は、8人の姉に囲まれて育った、一家の一人息子でした。山口高等商業学校(現・山口大学)で経済を学んでいましたが、戦時下で繰り上げ卒業となり軍の道へ。学生時代は幼い甥の面倒をよく見ており、甥は、早朝から勉強に励む姿を度々目にしたと語っています。

●知覧特攻平和会館学芸員・羽場恵理子さんからのメッセージ
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戦後80年という節目の夏に開催される今回の企画展では、特攻隊員一人ひとりの人生に光を当てています。
遺書だけでなく、入隊前の学生時代の資料も紹介していますので、意外な一面や現代の私たちにも通じるものが、見えるかもしれません。
三姉妹の長女である私は、弟妹や親族に対する気持ちが綴られた彼らの手紙に共感する部分もありました。
ぜひ何度でも足を運んでいただき、特攻隊員の生い立ちに触れていただけたら幸いです。
【関連イベント】学芸員による講座・ギャラリートークを開催
※参加費無料、入館料のみで参加できます。事前申し込み不要。
◆講座(学芸員が企画展の内容を詳しく解説)
日程:9月23日(火・祝)、10月11日(土)
時間:10:30〜、14:30〜(約30分)
会場:知覧特攻平和会館 講話室
◆ギャラリートーク(学芸員が展示の見どころを紹介)
日程:9月6日(土)、10月4日(土)
時間:10:30〜、14:30〜(約30分)
会場:知覧特攻平和会館 企画展示室
戦後80年。戦争の記憶が遠ざかる今だからこそ、当時の息遣いを伝える遺品を通して、平和の尊さを改めて考える機会に。家族や友人と一緒に、ぜひ出かけてみてください。
知覧特攻平和会館は、戦争や特攻の歴史を後世に語り継ぎ、世界の恒久平和を祈念する施設です。この地から出撃し戦死した隊員の貴重な遺書や遺品、関係資料の数々を展示・保存してあり、戦争の悲惨さや平和の尊さを学ぶことができます。周辺には戦争遺跡も多数残っています。
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