
天文館通電停からアーケードを抜け、天文館公園に向かって歩くこと約5分の場所に「焼酎とおでん りんご」(以下、「りんご」)があります。
オレンジ色の外壁に、提灯がゆらめく外観が目印。のれんをくぐると、おでんのだしの優しい香りがふわっと漂います。カウンター席と2つのテーブル席が並ぶ店内は、丸いかわいらしいライトに照らされ、和やかな雰囲気が広がります。


ここは、天文館の老舗の居酒屋や酒販店で経験を積んだ、店主の若山加奈さんが切り盛りする酒場。
もともとお酒に強い方ではないという若山さん。自分の体調や気分によって割り方を変えたり、自由に楽しめたりする焼酎に魅了され、その奥深さにどんどん引かれていったといいます。そんな焼酎の魅力を多くの人に届けたいという思いから、2019年に「りんご」をオープンしました。提供する料理は、焼酎のあてにぴったりなおでんやおばんざい。ひと口ごとに心がゆるむような、あたたかなひとときが、多くの人の心をほぐしています。
多彩な味わいから知る、焼酎の魅力

店に入りまず目に付くのは、カウンター越しの棚にずらりと並ぶ焼酎。常時40銘柄ほどをそろえており、若山さんが実際に飲んでお勧めしたいと感じたもののみを取り扱っています。

この日のお勧めは、2025年に開催された「第4回 酒屋が選ぶ焼酎大賞」の入賞銘柄。全国の酒販店が審査し、毎年優秀な商品を選出しているコンテストです。大賞の「千本桜 熟成ハマコマチ」は、オレンジ色の芋・ハマコマチを使用した焼酎。紅茶や甘い花のような、魅惑的な香りを味わえます。
最近はアロマのように華やかな香りや、フルーティーな味わいを楽しめる焼酎も増えてきているそう。時期によって、季節限定の焼酎や新酒も登場し、飲み比べも楽しみの一つ。焼酎の新しい魅力に触れられる、そんな一本に出合えるかもしれません。
「りんご」では、普段は焼酎をあまり飲まない人にも気軽に楽しんでもらいたいと、訪れた人の好みはもちろん、0次会や2軒目にもぴったりな銘柄や割り方を提案してくれます。また、相性のいい焼酎と料理のペアリングで楽しむこともできます。
ふくよかな味わいが香る〝鹿児島風おでん〟

店名にもある名物の「おでん」。味の決め手となるだしは、枕崎産のかつお節と北海道の日高昆布から毎朝引いています。その日の分だけ仕込むことで、煮立ちすぎることなく、豊かな香りとふくよかな味わいに。
夏場は若山さんお任せの盛り合わせで提供しているおでんは、肌寒くなる秋から春にかけては、約30種類のおでんを1種類から注文できます。
冬になると、豆もやしやさつま揚げが具材に加わる〝鹿児島風おでん〟に。じゅわっとだしがあふれ出す、ちくわやはんぺんなどの練り物も人気のメニューです。

取材をしたこの日は9月。だいこん、餅巾着、ロールキャベツ、卵、がんもどきの5種盛りをいただきました。
あっさりとした、まろやかなだしのうまみが具材一つひとつにしっかり染み込み、一口ごとに深い味わいが広がります。最後の1滴までだしまで飲み干したくなるおいしさです。
お酒にぴったりな、色とりどりのおばんざい



もう一つの看板メニューである「おばんざい」は、定番から日替わりメニューまで、合わせて約10種類がカウンターに並びます。どれも焼酎に合う味付け。

中でも特に人気なのが「海老しゅうまいチリマヨソース」です。
クリーミーなチリマヨソースを絡めた海老しゅうまいの上には、なんとバナナチップスが。コクのある甘めの味付けに、香ばしい食感がアクセントになっています。意外な組み合わせながら、お酒が進む一品。
おばんざいは、小550円と大700円で提供しています。どれにするか迷ったときは、複数を少しずつ盛り付けた「ちょこっと盛り合わせ」(950円)もお勧めです。
おでんやおばんざいの他に、温かいジャガイモとゆで卵を混ぜた「おでん屋のポテサラ」など、こだわりの一品料理も豊富です。

温かな心地よい酒場の雰囲気に包まれながら、焼酎とおでんを味わえる「りんご」。若山さんとの何気ない会話や焼酎談義も、ここならではの楽しみです。
お酒をゆっくり楽しみたい夜に、ぜひ訪れてみてください。
焼酎とおでん りんご
- 住所
- 鹿児島県鹿児島市樋之口町10-17 角玉会館1F
- 電話番号
- 090-8331-6328
- 営業時間
- 17:00~23:00(L.O. 22:00、電話受付は14:00~)
- 定休日
-
日・月曜(不定休あり)
※Instagramから確認を - 可能な支払い方法
- 現金、電子マネー(PayPay、Payどん)
- @shochu_oden_ringo