私のご近所には、源泉かけ流しがある

私のご近所には、源泉かけ流しがある
安田 綾
  1. よき新春をお迎えのことと、お喜び申し上げます。

    あちこち編集長の安田です。
    2026年が始まり、今年1回目のコラムは、僭越ながら私が担当いたします。
    近所の温泉についてです。どうぞ!

つい最近まで、私はそのことを知りませんでした。
自宅から車で4分のところに、源泉かけ流しの温泉があるということを。

これまでの私は、車で片道40分ほどかかる温泉へ、月に1回行っていました。
温泉は、時間をつくって、荷物をまとめて、「今日は温泉に行く日です」と心の中で宣言してから出かけるもの。
そんなふうに思っていたのです。

近所の温泉を知ったきっかけは、ほんのささいな世間話。
「このへん、温泉ありますよね」
そう聞かれて、「ある?」「このへんに?」と、思わず聞き返してしまいました。
2年も住んでいるのに、まったく知らない。
軽い気持ちで調べてみると、見つけました。

源泉かけ流し。
自宅から車で4分。
年季の入った趣のある施設。
あ、知っている。名前、聞いたことがある。

そこは、聞き覚えのある温泉施設。
これはもう行ってみるしかありません。
期待はほどほどに、でも少しだけわくわくしながら。

入口をくぐると、古さの中にどこか懐かしさのある空間。
くつばこ、のれん、脱衣所、洗い場…
どこも「まあまあ、ゆっくりしていきなさい」と声をかけられているような、おおらかさを感じます。

浴室のドアを開けると、カランと響く桶の音。
これまたレトロな洗い場で体を洗い、いよいよ湯船に向かいます。

そっと足先からつかり、
ゆっくりと身体を沈めていく。
「はぁ~」と思わず、息がゆるむ。
お湯はやわらかく、肌にすーっとなじみます。
そのとき、温泉に詳しくない私でも、はっきりとわかること、
「あ、これは、いい湯だ」と。

湯気に包まれぼんやりとした浴室内を眺めていると、
今日やろうと思っていたことも、
さっきまで考えていたことも、
だんだんどうでもよくなっていきます。

そして、お次は、露天。
ほかほかの身体が、ひんやりとした外気にふれて心地いい。
浴槽の岩にもたれながら、
お湯の流れる音を聞き、
風にさわさわ揺れる木の葉を眺める。
手や足先で、ちゃぽちゃぽとお湯を揺らす。
たまりません。
身体はぽかぽか、顔はひんやり。
澄んだ空気をスーハースーハー。
最高です。

帰り道も、車で4分。
寒い夜でも、湯冷めする前にもう自宅。
本当に近すぎます。

私は、いつでも温泉に行ける。
そう、今からでも。
その距離に源泉かけ流しの温泉がある。
これはもう、贅沢でしあわせなことだと思います。

そしてあらためて、鹿児島の自然の恵みに感謝するのです。

あちこち編集長

安田 綾

aya yasuda

2022年に鹿児島に移住してから、新鮮な目であちこち行っては鹿児島の素敵なところを見つけて楽しんでいます。いろいろな人に会って話を聞けることが嬉しいです。 好きなことは、写真を撮ること。

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