鹿児島で編集の仕事をするようになって、「鹿児島茶」について生産者さんやお茶屋さんと話す機会が増え、お茶の魅力を改めて感じることが多くなりました。
鹿児島が粗茶生産量日本一になってから、ますます興味が深まり、暮らしの中に取り入れたいと思うように。けれど実際は、急須の手入れや片付け、飲みきれるかどうかなどが気になって、なかなか続かず。小さなことの積み重ねが、ちょっとしたハードルになっていました。

おしゃれでかわいらしい急須を買ってみたものの、使ったあとの片付けに少し気を遣って、気づけば戸棚の中へ。お茶のある暮らしはどこか遠くて、自分には難しいもののように感じていました。もちろん、この急須に罪はなくて、今でも気に入っています。


そんなときに出合ったのが、樹脂の急須です。
細かな茶葉がネットに詰まりやすい、という小さな難点はあるものの、それを補って余りある魅力があります。持ち手のないシンプルなかたちで、茶葉がゆっくりと開いていく様子や、湯の中で変わっていく色合いがそのまま見えるのが楽しい。茶こし部分のネットも洗いやすく、つるんとした素材はさっと水で流すだけですっきりします。割れる心配がないのも、気軽に手に取れる理由になりました。
それからほぼ毎晩、お茶を飲むように。これには自分でも少し驚いています。
夜にお茶を飲むと眠れなくなる、そんなふうに思い込んでいた時期もありましたが、実際は問題なく、ぐっすりと眠れています。湯気とともに立ちのぼる香りに、気持ちが落ち着くのか、一日の終わりにちょうどいいリラックスタイムです。

いただきもので増えていった茶葉や、うっかり期限を過ぎてしまったもの。冷蔵や冷凍で保管しながらも、どこか後ろめたさを感じたこともあります。一人暮らしで茶葉を買うとなると、余してしまうかもしれないという気持ちが先に立ち、手が伸びずにいました。
お茶屋さんに入ったとき、ふわりとやさしい香りに包まれる、あの感じ。お茶にまつわるお店では、茶香炉が焚かれているのをよく見かけます。その香りがとても好きで、素敵だなと思っていました。そこで、思い切ってはじめてみることに。
続くかわからなかったので、茶香炉は1,000円台の手頃なものを。ソイキャンドルもまとめて買えば、気軽に楽しめるくらいの価格でした。1つで数時間使えるので、夜のひとときには十分です。もし続かなくても、キャンドルは別の場面でも使えますし、それもまたいいかなと。

まずは期限を切らしてしまった茶葉で試してみました。それが思っていた以上に良くて。
ほのかに立ちのぼるお茶の香りは、ほっと心をゆるめ、部屋の空気をやさしく整えてくれます。灯りとともに香りを楽しむ夜の時間は、思っていたよりも心地よく、もう少しこのままでいたいと思えるほど。強すぎない香りだからこそ、近くに置いて本を読んだり、書きものをしたりしながら楽しんでいます。
火を消してしばらく置いた茶葉には、白いもふもふがついていました。調べてみると、これはカフェインの結晶だそう。そんな現象があるなんて知らず、それを見るのもひとつの楽しみです。2回目以降は、火をつける前に茶葉を指で軽く混ぜてから使っています。同じ茶葉で、だいたい3〜4日ほど香りを楽しんでいます。

そんなふうにお茶が少しずつ、私の暮らしに馴染んできました。お茶ってこんなにも落ち着くものだったのかと、いまさらながら感じています。
まだまだお茶初心者で、ちょうどいい具合を探っているところですが、飲んで、香って、感じるだけで、慌ただしい日々をほんの少しやわらかくしてくれているようです。