東シナに海が広がり江戸時代から港町として栄える、いちき串木野市。まぐろやちりめんの海産物など〝食のまち〟として知られるこのまちに、「亀﨑染工 有限会社」があります。五代目印染師の亀﨑 昌大さんを筆頭に、若い職人が活躍する印染店(しるしぞめてん)です。
〝伝統〟を現代の暮らしに展開する「亀染屋」
「亀﨑染工」は、昔ながらの木綿100%で、印染という伝統的な技法を用いて作る「大漁旗」と「五月幟」(ごがつのぼり)の鹿児島伝統的工芸品指定店です。
漁に出た漁船が大漁を示す「大漁旗」は、新造船の祝いやお祭りなどで漁船に掲げ使われます。「五月幟」は鯉のぼりよりも歴史の古い幟旗で、端午の節句に男の子の成長を祝って立てるのぼりです。この他にも、法被(はっぴ)や前掛け、暖簾や国旗なども作っています。
明治2年創業の「亀﨑染工」は155年以上、これらの布製品をひとつひとつ丹念に染め上げてきました。
手仕事以外にも、注文によってさまざまな技術を使い分ける「亀﨑染工」は、デジタル化が進む現代でも、印染の技術を大切にしています。伝統技術の継承はもちろん、印染は手仕事ならではのあたたかな仕上がりになるといいます。
そのため、印染だからこその表現を、多くの人にもっと身近に感じてもらうため、2023年に小売ブランド「亀染屋」(かめそめや)を「亀﨑染工」の隣にオープンしました。
古民家の歴史と風格を感じる店舗には、鮮やかな染色の生活雑貨やファッション、小物などが並びます。
白とグラデーションから滲みでる灯りの揺らぎ「kagerow」(かげろう)
「亀染屋」でひときわ目を引く「kagerow」は、優しい灯りで照らしてくれる照明です。2023かごしまの新特産品コンクールで、鹿児島県知事賞を受賞しました。白からグラデーションにかけて変化する灯りの様子が美しく、手仕事だからこその揺らぎが感じられる品です。
色は、あい・いちょう・くるみ・はいと日常の風景やインテリアにもなじむ、木材の色合いを意識し調合しています。サイズはMとLの2つあり、部屋のシーンにあわせて選ぶことも。丁寧に染め上げできた、世界にただひとつの灯りを、ぜひ感じてみてください。
若い職人たちが手仕事で作る、「亀染屋」の新商品
染色と縫製それぞれで若い職人が活躍する「亀﨑染工」では、企画からデザイン、染めと縫製など、一貫して行うことができ、新しい発想で新商品を生みだしています。
「寄り添うがま口バッグ」は、ひとつひとつの工程をそれぞれの職人が手仕事で作るバックです。ストラップ紐は牛ヌメ革で、焦茶とベージュの2色から選べます。ちょっとそこまでのお出かけや、サブバックとしても重宝するサイズ。波や草、花など柄は7種類ありそれぞれの可愛らしさがあります。
「ファブリックパネル」は印染で作る、色彩が鮮やかなアート商品。手仕事ならではの、線のゆらぎやかすれ、グラデーションなどを楽しむことができ、布のぬくもりも感じます。自分の部屋にあうファブリックパネルを探す楽しみがある品です。
これからの新商品情報なども、Instagramで確認してみて。
健やかな成長を願う〝鯉のぼり〟の風習を現代にも「額入り鯉のぼり」
このときは5月、ちょうど「端午(たんご)の節句」の頃でした。そのため鯉のぼりの商品が、店内に多くならびます。昔からの日本の風習である「鯉のぼり」は、男の子の健やかな成長を願って家庭の庭先に飾るものです。現代は生活環境の変化もあり、庭先に飾ることが難しい家庭も多くあります。それに対応したものが、室内に飾ることのできる「額入り鯉のぼり」です。
鯉のぼりは、木綿100%の本染め(反応手捺染)で作った手ぬぐい。これを曲線のある額に入れることで、風にゆらぐ鯉のぼりをイメージしています。
伝統のお祝いをポップに演出してくれ、生活に溶け込むデザイン。お子さんの名前・生年月日・簡単なメッセージを入れることができ、贈答品としてもお勧めです。
子どもも大人も、自分だけの染物が作れる「印染体験」
「印染体験」は、小刷毛(こばけ)を使って生地を染めていきます。絵柄は、鯛・亀・鶴・海老・龍・大漁旗の6種類から選べます。
餅粉と糠(ぬか)と石灰で作った防染糊(ぼうせんのり)で描かれ、縮んだり割れたりするのを防ぐため浜の砂がふりかけてあります。ここは土手となり染料が入らないため、洗うと防染糊が取れ白になります。
色を選ぶ楽しさと、布に染色する面白さがある体験です。グラデーションにしたり、色を重ねたり、時間を忘れるくらい夢中になれます。
個人差はありますが染色時間は、約1時間から2時間。このあと乾燥→定着→洗い→干すという工程を経て完成です。完成品は後日の受け取りですが、出来上がるまでの時間もわくわくし、手元に来たときの喜びがあります。
◆ご予約方法:お電話または公式LINEから
①お名前 ②ご希望の日時 ③体験人数 を伝えください。
TEL (0996)32-3053
LINE ID @kamesome
◆体験料:一人4,400円
完成品の受取りは来店か郵送
※郵送の場合、レターパック代:370円
イベント参加情報や定休日などもInstagramでチェックしてみて。
布は私たちの生活には欠かせものだからこそ、いろいろな印染の品を手に取ってみてください。タイミングがあえば、職人が丁寧に染めている姿を見ることができるかもしれません。
新たな発見と伝統にふれる面白さ感じに、ぜひおでかけしてみて。
亀崎染工(有)/亀染屋
- 住所
- 鹿児島県いちき串木野市旭町156-1
- 電話番号
-
0996-32-3053
※印染体験の予約もこちら - 営業時間
-
9:00~18:00
◆亀染屋/11:00~18:00 - 定休日
-
日曜・祝日
◆亀染屋 /水・ 木曜 - 可能なお支払い方法
- 現金・クレジットカード・電子マネー
- 駐車場
-
有
※お店の横の道を入ったところにあります - 亀崎染工HP
- https://www.kamesome.co.jp/
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- @kamezakidyeworks
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- https://kamesomeya.net/
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