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あちこち編集長の安田です。
私たちあちこちの編集ライターは、メディアを通じて鹿児島のおでかけ情報を言葉と写真で伝えています。そのため、取材では魅力を見つけることが重要です。これには今までの経験が生きてくると感じることが多々ありました。
私のコラムでは、仕事以外での気づきや心動かされた場所や体験について書いていきます。
今回は福岡県八女市の「星野村」と中心部の福島町「八女福島」を訪れた時のことです。
この日は2024年4月6日、桜がぎりぎり見られる時期でした。天気はくもりで今にも雨が降りそうで、滞在時間はわずか3時間。そんななか、心揺さぶられる建物との出会いがいくつかあったので紹介します。コラムというよりか写真多めのレポートのような内容ですが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
星野村にある「古陶星野焼展示館」の建物
八女市から車で約40分の場所にある緑豊かな村「星野村」。時間がぎりぎりでも訪れたかったのがこの村にある「古陶星野焼展示館」です。
江戸中期以降の星野焼や、美術工芸品である葉茶壷、茶道具などが展示されています。
自然光がさし水の流れる音が聞こえるこの施設のもうひとつの魅力は、陶窯の煙突をイメージして作られた建物です。八角形の形をしていて屋根は星の形にも見えます。
煙突部分には屋根はなく、雨や雪のときは施設内にも降りこんできて、それを池が受けとめ、溢れた水が外に流れるように作られていました。
台風や大雨のときは、この池だけでは収まらず床に浸水することもあるそうで、床材には使われている杉が時間とともにゆっくりと乾燥していくと、展示館の方が話してくれました。
大きな窓があるわけではなく、どちらかというと閉塞された静かな空間。それがまた水の音を反響させます。不思議と心地よく、魅力的な建物でした。
星野村は清流星野川が流れ、石積みの棚田や茶畑の景色が美しい村です。村の名前の通り夜には満天の星空を見ることができます。星の観測ができる宿泊施設やキャンプ場もある「星野村」。この日は、それらをじっくりと楽しむことができませんでしたが、また訪れたい場所のひとつとなりました。
趣のある商家町「八女福島」の建物
「八女福島」は重要伝統的建造物群保存地区で、江戸時代後期から大正時代にかけて建てられた土蔵造りの建物が多く見られます。町の景観を保存しながら改修・修復された町家には、オシャレなレストランやカフェ、宿泊施設などもあります。
◆人々が集う「旧八女郡役所」の建物
明治20年代から大正2年まで「八女郡役所」として使われていた建物。
まず、その大きさに驚きます。2階のガラスや壁などに老朽化を感じながらも、手入れされ大切にされているのが伝わってきました。
ぐるっと回りこの建物の反対側に行くと「朝日屋酒店」の看板が見えてきます。店内からは、広い空間に繋がっており、この日は音楽イベントの準備がされていました。
ここでは、いろいろな展示会や映画上映会などが行われているようです。
「旧八女郡役所」については、自宅に帰ってから調べました。
長いあいだ使用されていなかったこの建物を、2010年頃にNPO法人〈八女空き家再生スイッチ〉が所有権を取得して修理・再生する取り組みについて詳しく書かれた記事を見つけました。
▷マガジンハウス ロコカル「明治から残る木造建築〈旧八女郡役所〉の再生プロジェクト」
◆八女福島にある「無量寿院」(むりょうじゅいん)の正門と桜
八女福島を散策しているときに見つけた「無量寿院」。葉桜ですが、咲き誇る桜と参道を花びらのピンクが染めていました。正門から見るこの景色は、まるで額装されているようで、その美しさに足を止めずにはいられませんでした。
中に入り駐車場の方にいくと、そこには地面すれすれまで幹を伸ばす桜の木があります。樹齢が長いのか立派な桜の木に圧倒されました。
いかがだったでしょうか。
滞在時間の割にはかなり満喫したと思っています。
いろいろな場所に出かけると、古い物から新しい物まで建物の素晴らしさに感動することがあります。ある美術館が好きで、美しい曲線にすっかり虜になったこともありました。
八女でもっといろいろと見たかった…。この気持ちは次回の旅で。