鹿児島市名山町は、古くからの木造長屋が残り、昭和レトロな雰囲気が漂う町。地元では名山堀と呼ばれ、親しまれています。そんな町の一角にある小さな本屋さんが、「books selva(ブックス セルヴァ)」。スペイン語で「密林」を意味する「セルヴァ」には、新刊・古本・絵本・写真集など約1000冊が並びます。
店は、鹿児島市役所前の緑地帯「みなと大通り公園」にも面しているので、初めて訪れるなら、みなと大通り公園沿いに歩くと分かりやすいでしょう。
店主の杣谷(そまたに)健太さんは三重県出身で、元全国紙の新聞記者だった経歴の持ち主。鹿児島支局勤務の頃から名山堀にはなじみがあり、「新聞社を辞めて、本屋をやろうと思って知人に相談していたところ、名山堀の木造3階建てのこの物件を紹介してもらえたんです。お気に入りの場所だったので、即決しました」と話します。
来店者は、20代~50代が多く、比較的若い人が利用している様子。そこで、お勧めの本を数冊ピックアップしてもらいました。Wing Shyaの写真集「Solace」、せきしろ著「そんな言葉があることを忘れていた」、マルコ・バルツァーノ著/関口英子訳「この村にとどまる」、レオナルド・パドゥーラ著/寺尾隆吉訳「犬を愛した男」、ナージャ・トロコンニコワ著/野中モモ訳「読書と暴動」など。
元々は民家だった建物の外観・照明・床材などは残しつつ、壁に本棚を取り付けることで、懐かしさと新しさが同居する空間に。「一見、古本屋さんかと思われますが、新書が8割を占めます。棚に並んだ本の背表紙から、多様な価値観や視点があることを知ってもらえるとうれしいです」と杣谷さん。
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そういえば、かつて「金鳥の夏、日本の夏」という蚊取り線香の有名なキャッチコピーがありましたが、「読書の秋、名山堀の秋」というキャッチも面白そう。
あるいは、「ティファニーで朝食を」をもじって、「名山堀で昼食を」というのもありかもしれません。
ということで、ブックス セルヴァから徒歩10歩(分ではありません)程度の距離にあるカフェスポットが「home An Rin café and hirunomiya」。アンリンという店名の後ろに、〝カフェ〟。それに続く〝昼飲み〟の文字がなんとも自由な雰囲気を醸し出します。急な階段を上って2階でくつろぐのも乙。休日は本と昼飲みと散歩もいいですね。
books selva(ブックス セルヴァ)
- 住所
- 鹿児島市名山町4-8
- 電話番号
- 090-8675-4927
- 営業時間
- 11:00~19:00(金曜は~20:00、日曜・祝日は~18:00)
- 定休日
- 水曜・第3火曜
- @books_selva