鹿児島中央駅から車で約10分、武岡にあるパイ専門店「OGLIVIE（オグリビー）」は、行列のできるお店としてメディアやSNSでも話題の人気店です。
閑静な住宅街にあり、近くには公園もあり緑がとても豊かな場所です。 オシャレな店舗は、窓口販売でショーケースから選んで購入するスタイル。この日も、続けて訪れるお客さん一組一組と話す木下さんご夫婦の明るい声が聞こえてきました。

「武岡のパイおじさん」と自ら名乗るユーモラスな雄介さんは、前職はグラフィックデザイナー。パイの専門店をやりたいと急に思い立ち、まったく作ったことのないパイ作りを調べながら試作を重ねてきました。「実はアップルパイがあまり好きではなかったんです。それでも、周囲からのリクエストで作ることにしました。作るのならば自分も美味しいと思えるものにしたかった」というアップルパイは、今ではお店の一番人気のパイです。

石臼挽き小麦粉と逆さ折り製法で作る、繊細で軽さが魅力のパイ生地

「OGLIVIE」のパイはサクっとした食感で、はらはらと繊細な軽さのある生地。口コミでも「サクサクで軽い」「パイ生地だけでも美味しい」と評判です。
このパイ生地が完成したのは、「石臼挽き小麦粉」と「逆さ折り製法」との出会いがきっかけでした。

石臼挽き小麦粉は、石臼で小麦を挽いて作られた小麦粉で、麦本来の深みのある味わいがあります。この石臼挽き小麦粉とたっぷりのバターを重ねて作る生地。その製法は、通常の折りパイの生地とは逆で、バターで小麦粉を包み込んで生地を折っていく「逆さ折り」です。通常の折りの製法に比べて温度管理が重要で、工程ごとに手間もかかる製法だといいます。 「簡単ではなかったけど、石臼挽き小麦粉と逆さ折り製法で作ったアップルパイを初めて食べたとき、今までのパイとは明らかに違い、初めて美味しいと思えたアップルパイです」

ジューシーなリンゴの風味が感じられる人気の「アップルパイ」

黄金色に焼かれた「OGLIVIE」のパイは、バターたっぷりの生地だからこそ、フィリングはとてもシンプルなことも魅力です。

リンゴを喜界島産の島ザラメでじっくり煮詰めたフィリングは、果肉がしっかりと感じられ、噛むとリンゴのジューシーな風味が口の中に広がります。シナモンが入っていないため年齢問わず人気。冷やして食べてもまた違う口あたりで楽しめます。

普段使用する品種は問わず国産のリンゴですが、10月から11月中旬頃は紅玉を使ったアップルパイになります。紅玉は、酸味と甘みのバランスと、食感が程よく残るため、アップルパイに向いた品種と言われています。ぜひ、この期間限定のアップルパイも味わってみてください。

パイ生地とのバランスが絶妙なフィリングの「OGLIVIE」のパイたち

◆旨みたっぷりでワインとの相性も抜群の「ミートパイ」

「ミートパイ」はオープン当初からあるおかずパイです。黒豚ひき肉、にんじん、玉ねぎ、しめじのトマトベースのミートソースは、サクラカネヨの醤油と味噌を隠し味に加えることで、味に深みを感じます。それぞれの具材も大きすぎず小さすぎず絶妙で、ほろほろとした繊細なパイ生地との相性が最高です。旨みたっぷりの「ミートパイ」は、ワインが好きな人にぜひ食べてもらいたいパイです。

◆子どもから大人まで、優しい甘さのガナッシュの「ショコラ」

カカオ生地のパイに自家製ガナッシュがたっぷり入った「ショコラ」。滑らかな口どけで、甘すぎない濃厚なチョコレートの風味が魅力です。オーブンやトースターでリベイクするとトロッとし、冷やすと生チョコのようなガナッシュでパイを楽しむこともできます。見た目は大きなパイですが、軽い食感のパイ生地でペロリと食べられます。お子さんにもおすすめです。

このときにも、多くの人が訪れていた「OGLIVIE」。時間によっては売り切れてしまうこともあるため、Instagramのハイライト「予約フォーム」から事前予約をおすすめします。 パイは5～6種類あり、新作や季節によってフィリングが変わることも。Instagramでも雄介さんがオグリビーのパイについて愉快に紹介しています。ぜひチェックして、おでかけしてみてください。