湯之元温泉街の中に佇む、老舗和菓子店「梅月堂」。鹿児島市街地から車で約40分、JR湯之元駅からは徒歩5分ほどの場所にあります。
100年以上の歴史を持つ梅月堂は、創業当初からのロングセラー商品「湯之元せんべい」や、全国各地で人気を集める「ラムドラ」で知られる和菓子専門店です。
伝統と発明の企業文化を軸にした、〝梅月堂らしい〟和菓子作り
大正時代に創業した梅月堂は、戦中・戦後、砂糖が手に入らない時期を経験しました。戦後、同業他社が代替品を使う中、初代店主は砂糖が手に入るまで店を開かなかったといいます。この「材料と品質は絶対に下げない」という信念は、現在も大切に受け継がれています。
また、よりおいしい和菓子を作るために、試行錯誤を続ける「味の深掘り」にも情熱を注いでいます。こうして、代々受け継がれるものを守りながらも、時代に合わせた変化も忘れないことこそが〝梅月堂らしさ〟です。
4代目店主の石原良さんを筆頭に、商品の材料や品質と向き合うまじめさと、時代に合わせた、新たな和菓子の発明を大切にしている梅月堂。
2021年からは、〝先祖代々のまじめさと、発明〟という会社の文化を言語化して、和菓子作りにいそしんでいます。
素朴なおいしさの「湯之元せんべい」など、店頭で買える定番商品を紹介
「湯之元せんべい」は、鹿児島で長年にわたって愛される素朴な菓子。小麦粉、砂糖、卵のみを使った生地に、山椒や青のり、黒ごまがのったせんべいは、サクパリッとした、軽い口当たりが魅力です。山椒の葉の爽やかな香りと、ピリッとした刺激がアクセントの大人の味や、ショコラ味、ピーナッツ味もあります。
また、しっとり生地の「カステラ」や、鹿児島では身近な神様、田の神さぁを模した「田の神さぁ最中(もなか)」も並んでいます。
職人が手作業で丁寧に焼き上げる皮を使った「ぬれどら焼き」
人気の「ぬれどら焼き」は、銅板で1枚1枚、丁寧に焼かれる皮に、たっぷりと入った餡が魅力の一品。
「どこにもない、しっとりとしたどら焼きを作りたい」という、2代目当主の思いから生み出された梅月堂のどら焼きは、10年ほど前に「ぬれどら焼き」と名前を変え、リニューアルしました。
ぬれどら焼きの特徴である、薄くしっとりとした皮は、全て職人が1枚ずつ丁寧に焼き上げています。習得の難易度が高く、社内では「職人泣かせのどら焼き」といわれるほど。
「可能なところは機械化を進めていますが、この焼きの工程は機械では再現できない技術が必要になります。手作業にこだわらなければならない部分です」と、石原さんが教えてくれました。
甘さ控えめでさっぱりとした自家製の餡には、北海道産の大納言小豆を100%使用。自社の工場内で丁寧に炊き上げた餡は、滑らかな口当たりで、小豆の粒感もしっかりと感じられます。
春には桜の花と葉の風味を生かした「さくら」、夏は鹿児島の有機緑茶と、フランスの有名チョコレートブランド ヴァローナのホワイトチョコレートを合わせた「白茶々」、秋と冬にはホクホクの和栗を丸ごと使用した「和栗」も。季節限定の味わいが楽しめます。
◆自家製ラムレーズンを使った「ラムドラ」は、大人の味わい
「ぬれどら焼き」のしっとりとした皮と自家製の餡に、ラムレーズンを加えた「ラムドラ」は、2016年の発売以降、関東や関西のTVや雑誌など、多数のメディアで取り上げられるほどの人気商品です。
使われているのは、カリフォルニアレーズンをマイヤーズのダークラムに最低3日間漬け込んだ自家製のラムレーズン。ジューシーな食感と、じゅわっと広がる芳醇なラムの香りが、一口目から感じられます。半年以上かけて開発したラムレーズンは、すっきり辛口で、ほんのりバターが香る餡の上品な甘さを引き立てています。
購入後2、3日以上寝かせてから、食べるのもおすすめ。生地と餡がなじんで、しっとり感がさらに増し、ケーキのような食感が楽しめますよ。
【2024年 新商品】〝Mr.湯之元せんべい〟が生み出した、ノー・バター・ラングドシャ「ゆのせん」
奥さまから〝Mr.湯之元せんべい〟と呼ばれるほど、湯之元せんべいへの愛が深い、4代目店主の石原さん。そんな石原さんが2年の歳月をかけて生み出した新商品が、2024年の10月に発売されました。その名も「ゆのせん」です。
ラインナップは、珈琲ヴァニラ、チョコミント、山椒の3種類。
「ノー・バター・ラングドシャ(バター不使用で、薄く軽い口当たりのクッキー)」というテーマで作られたこの商品は、湯之元せんべいの技術と、〝和菓子でワクワク感やトキメキを提供したい〟という思いを掛け合わせて生まれました。
「珈琲ヴァニラ」は、コーヒーのほろ苦さと、ヴァニラビーンズの甘く豊かな香りが絶妙にマッチした一品。隠し味のスコッチウイスキーが、スモーキーな風味を添え、味わいに深みを与えています。
「チョコミント」は、自社工場で加工した、国産のフレッシュミントを使用。口に入れると、ミントのさわやかな香りが広がり、その後を清涼感が追いかけます。
1粒ずつのせられた、フランス ヴァローナのブラックチョコレートと、ヴァニラビーンズの風味が調和した、大人なテイストが魅力です。
オリジナルの湯之元せんべいのおいしさをそのまま、一口サイズにした「山椒」。
「山椒はいわば、日本の〝トラディショナルハーブ〟です」と石原さんは語ります。
トッピングの葉を1枚にすることで、湯之元せんべいよりもマイルドなスパイシーさに。より生地のおいしさも堪能できます。
伝統を大切にしながらも、驚きやトキメキを感じられる和菓子を生み出す、老舗和菓子店「梅月堂」。
現在は、飲食ができるスペースが6席ほどあります。今後は、来店した人がゆったりとくつろげる場所を、庭のスペースに作る予定だそうです。
近隣には、地元住民や温泉好きが訪れる、湯之元温泉郷も。温泉で癒された後に、素敵な和菓子でひと休みするのもおすすめです。
取り扱い店舗(一部抜粋)
梅月堂の和菓子は、100カ所を超える、鹿児島県内外の百貨店やアンテナショップなどで取り扱われています。
頑張った自分へのご褒美や、手土産にもどうぞ。
-鹿児島県内
・山形屋(ふるさとコーナー)
住所:鹿児島県鹿児島市金生町3-1
・マルヤガーデンズ(D&DEPARTMENT KAGOSHIMA)
住所:鹿児島県鹿児島市呉服町6-5
・黎明館(城山シーズニング)
住所:鹿児島県鹿児島市城山町7-2
・城山ホテル鹿児島(逸品館)
住所:鹿児島県鹿児島市新照院町41-1
-県外
・日本百貨店 とうきょう
住所:東京都千代田区丸の内1丁目9-1 JR東日本東京駅構内 B1 グランスタ内
・かごしま遊楽館
住所:東京都千代田区有楽町1丁目6-4 千代田区ビル1F
・かごしま屋
住所:大阪府大阪市北区梅田3丁目2-2 JPタワー大阪2F
その他の取り扱い店舗は、公式サイトから確認してください。
梅月堂
- 住所
- 鹿児島県日置市東市来町湯田3320
- 電話番号
- 099-274-2421
- 営業時間
- 10:00〜16:00
- 定休日
- 日曜
- 可能な支払い方法
- 現金、クレジットカード
- 駐車場
- 有(約9台)