東郡元町の産業道路沿いにある「太郎屋」は、レトロな家具や雑貨、オーディオ機器、レコードなどが揃うお店です。オーディオやレコードなどの出張買い取りも行い、不定休で営業しています。
大きな倉庫の入り口を入ると、さまざまな雑貨が奥まで広がり、雑然としながらも一つひとつから店主の太郎さんのセンスが感じられます。倉庫のひんやりとした静寂の中に、レコードプレイヤーから流れる音楽が心地よく響いています。ノスタルジックなレコードの音色や、曲が始まる前に漂うノイズまでもが味わい深い。そんな空間が広がるのが「太郎屋」です。
もとは店舗ではなかったこの倉庫は、アンティーク家具を修理・修繕するための保管場兼作業場でした。雰囲気を好む人たちの間で口コミが広まり、いつしか人が訪れるように。
現在は営業するときだけInstagramでお知らせしており、その日を心待ちにしている人も多くいます。
自分の好きな音色を探す、レコードの魅力
太郎さんは家族の影響より幼い頃からオーディオセットやレコードに囲まれて育ち、10代で自ら機器を購入するようになるほど、レコードに長年慣れ親しんできました。
「太郎屋」では、太郎さんが目利きできるものだけを買い取るため、古い物だけでなく、オーディオ機器とレコードが徐々に増えていったと言います。
「大きなレコードにキズをつけないよう取り出し、セットして、聞きたい曲の音溝(おんこう)に針を落とす。この時間がとても好きです。それには余裕が必要だから。今日は音楽に向き合うぞとレコードが気持ちを高めてくれます」。
手間がかかるからこそ〝音楽〟を楽しむことをより感じられるというレコードは、初めてふれる人には新鮮に、以前聞き込んだ人には懐かしく感じられる音色です。
この音色は、環境によって変わり、機器やその組み合わせ、使う針でもまったく異なります。店内にあるスピーカーは、小さな物から大きな物まであり、それぞれの違いを試すことができます。好みの音色を探すこともレコードの面白さの一つです。
太郎さんも最初は安価なオーディオ機器を買ってレコードを楽しんでいました。そのオーディオで聴く70、80年代の邦楽は、どこかノスタルジックな雰囲気があり、それもまた良かったと言います。「大きな機器を揃えることはできなくても、スピーカー搭載のレコードプレイヤーもあります。暮らしに合ったものを選び、気軽に楽しんでもらいたい」。
「太郎屋」では、レコードの試聴はもちろん、機器の組み合わせを試すことができ、環境や予算に応じた機器について相談にも乗ってくれます。購入したあとのオーディオ機器のメンテナンスや修理も対応しています。
不要な物が誰かの価値ある物へと変わる場所
店の奥には、自転車や扇風機、ストーブ、家具、雑貨も置いてあります。
このときは、今では珍しいゆらゆらガラスの大きな棚が目を惹きました。ゆらゆらガラスは、現在のようにガラスを平面に作る技術がまだなかった時代のもの。この棚は戦前から営業していた薬局で、薬を保存するために使われていました。よく見ると、右と左でゆらめきが違い、どちらかが差し替えられたことが分かります。
人とともに長い年月を過ごしてきたことが伝わってくるものばかりです。
店内に置いてある品数は、1日中見ていても飽きないほど。じっくりとその時代や生活を感じながら楽しむことができます。
レコードやオーディオ機器に初めてふれる人にもおすすめの店「太郎屋」。いつも聴く音楽も、初めて聴くジャンルや時代の音楽も、もっと深く音色を感じてみる。曲が始まる前のノイズを楽しむように、そんな時間を過ごしてみませんか。
太郎屋
- 住所
- 鹿児島県鹿児島市東郡元町14−22
- 電話番号
- 090-2504-3887
- 営業時間
- ※営業のときは、Instagramのストーリーズでお知らせ
- 定休日
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不定休
※営業のときは、Instagramのストーリーズでお知らせ - 可能な支払い方法
- 現金のみ
- 駐車場
- 有
- @furudougu_and_record