「椋鳩十文学記念館」で感じる、児童文学と動物たちのものがたり

「椋鳩十文学記念館」で感じる、児童文学と動物たちのものがたり
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「椋鳩十文学記念館」とは

鹿児島県姶良市加治木町にある「椋鳩十文学記念館」では、椋鳩十の生い立ちや経歴、執筆のための取材資料、原稿、私物など、貴重な品々が展示されています。
椋鳩十(本名:久保田彦穂)は、1905年に長野県で生まれ、1930年に加治木高等女学校の国語教師として赴任。それ以降、鹿児島に永住し、数多くの名作を世に送り出した児童文学作家です。

椋鳩十文学記念館:提供画像
椋鳩十文学記念館:提供画像

椋作品は、日本の児童文学において初めて“少年動物文学”として認められました。動物の生態や習性を正確に描きながら、動物と人間が自然の中で共存することの大切さを訴えかける作風が特徴です。
この動物文学を本格的に書き始めたのが加治木町。ここは“椋文学発祥の地”であり、“椋鳩十の第二のふるさと”ともいわれ、そうした背景をもとに、1990年に記念館が開館されました。

この記事では、実際に訪れて感じた記念館の魅力を紹介していきます。

「椋鳩十文学記念館」のコンクールや企画展

毎年開催されている「椋鳩十文学記念館賞 全国読書感想文コンクール」は、2025年で第35回を迎えます。毎回300点以上の応募があり、入賞作品の一部は、椋鳩十の著作とともに館内に掲示されます。子どもたちが椋作品を通して、現代をどう受け止めているのかを感じられる展示です。
2025年7月23日から9月15日までの夏休み期間には、「椋鳩十と戦争」をテーマにした企画展を開催。執筆当時の貴重な原稿などが展示される予定となっています。また、姶良市中央図書館では、8月9日・10日の2日間で「マヤの一生」の映画上映会が開催予定です。

「椋鳩十文学記念館」の見どころ

◆多くの作品を生み出した、書斎の復元

椋鳩十文学記念館:提供画像

まるで、つい今までそこに椋鳩十がいたかのような、親しみを感じる書斎。家具や文具など、実際に使用していたものが並び、本の重みでしなる本棚まで忠実に再現されています。どんな本を読んでいたのかが垣間見え、棚の奥にはエマソンの自然論など、古く貴重な書籍も。細部にまでこだわった展示から、椋鳩十がより身近に感じられる展示となっています。

◆手に取って読める執筆原稿や取材資料の写し

椋鳩十文学記念館:提供画像

直筆の執筆原稿の写しや、取材のための新聞記事の切り抜き、取材手帳の写しなどがファイリングされており、自由に手に取って読むことができます。文字のクセや推敲の跡がそのまま残されており、執筆の裏側にふれることができるのも魅力です。

また、館内には椋鳩十の名句が随所に展示されており、直筆の色紙や掛け軸には「力一杯 今を 生きる」「感動は 人生の窓を開く」「詩は文学の出発点だよ」などの代表的な言葉が。その意図や背景もあわせて紹介されていて、より深く椋の世界観にふれることができます。

◆子どもと一緒に作品や読書を楽しめる空間

椋鳩十の生まれ故郷信州をはじめ、加治木町や鹿児島市の風景をバックに、椋鳩十の生涯を映像化したものや、作品のアニメ28本(各20分程度)から選んで観ることができます。
鹿児島県立図書館長を務めた椋鳩十が提唱した「母と子の20分間読書」を実践できる場として、館内や、同じ敷地内にある「自由の館」では、椋作品をはじめとする関連書籍が並んでいます。親子で本を開きながら、静かな時間を過ごすのにぴったりの空間です。

また、建物の外には子どもたちがのびのびと走り回れる松林のある庭園が広がり、熊や犬などの愛らしい石像も点在しています。

鹿児島県内外の社歌や校歌の作詞などを手がけ、70年以上にわたって教科書に作品が掲載され続けている椋鳩十。その感性は今もなお色あせることがありません。遠足で訪れた子どもが、後日あらためて親を連れて来ることも多いといいます。
低学年の子が読めるくらいやさしく、そのぶん奥が深く、子どものときに読んだ作品は、大人になってから新たな気づきを与えてくれます。だからこそ、椋作品は幅広い世代に長く読み継がれているのかもしれません。
「椋鳩十文学記念館」に足を運んでみてはいかがでしょうか。

椋鳩十の作品に触れ、読書や芸術を楽しむ日「ハトの日」/主催:NPO法人ポラーノ・ポラーリ

2025年、椋鳩十の生誕120年を記念して、読書と芸術・文化を楽しむ「ハトの日」。8月10日(ハトの日)やその前後、県内各地で読み聞かせや朗読会、講演会やワークショップ、舞台や映画上映、本の展示販売など、さまざまな催しが行われます。
公式ホームページをチェックして各所に訪れてみてください。
▶公式ホームページ:https://hatonohi.com/

INFORMATION

椋鳩十文学記念館

住所
鹿児島県姶良市加治木町反土2624−1
電話番号
0995-62-4800
営業時間
9:00~17:00(入館は16:30分まで)
休館日
月曜 ※祝日の場合は翌日
年末年始:12/29~1/3
入館料
小・中学生:220円
高校生以上:330円
※学生証提示で220円
可能な支払い方法
現金のみ
駐車場
本記事はライターが取材・校正を行った上で作成した記事です。
内容は2025年07月時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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