
鹿屋市から車で約25分、錦江町にある「teashop & cafe ten(ティショップアンドカフェ テン)」(以下、「ten」)。1973年から錦江町・大根占地区でお茶を栽培してきた株式会社今隈製茶(いまくま茶園)が営む、お茶を楽しむためのカフェです。


黒を基調とした外観に大きなロゴマークが映える店舗。店内にはテーブル席とテラス席があり、イートインも可能です。
テイクアウトメニューは、ドリンクや焼き菓子、ソフトクリームと、自然公園の神川大滝公園へ向かう人やドライブ途中に立ち寄る人の姿が見られました。



ここは二代目で茶師の今隈幸洋さんが、2023年にオープンしたお店。〝時間に読点を打つようにひと休みしてほしい〟という意味を込めて、句切りの符号である読点をロゴと店名に。「文章と文章の間にある読点で“一呼吸”おくように、ここでひと休みできる時間を過ごしてほしいです」と話します。そんな「ten」の魅力は、この土地ならではの緑茶を使ったメニューです。
海岸部と山間部、それぞれの気候をいかした「いまくま茶園」の緑茶

桜島の火山灰台地に広がる「いまくま茶園」では、海岸部と山間部、それぞれの環境に合わせて茶葉を栽培しています。
海に近い大根占(おおねじめ)地区は温暖で、本土で最もはやい新茶の産地です。その茶葉で作る深蒸し茶は渋みが少なく、まろやかで甘みのある味わいと、濃い緑色から「緑のダイヤモンド」と呼ばれます。
標高約400mの田代地区は寒暖差が大きく、茶葉の育成に適した環境。ここでは浅蒸し茶や紅茶、ほうじ茶用の茶葉を育てています。浅蒸し茶はすっきりとした甘みと、香り高い風味が特徴です。

肥料には魚粕や油粕を合わせた自家製の発酵肥料「ぼかし肥料」を使用。茶樹の間に風が通るよう手入れし、茶葉がのびのびと育つ環境を守っています。
製茶の要である手もみ。日本手もみ製茶技術資格(教師補)を持つ今隈さんが、機械製茶でも茶葉の感触を確かめながら仕上げます。
こうして生まれるお茶は、香り高く、まろやかな旨みと奥深い余韻が広がる一杯です。
鹿児島の味をお茶とともに楽しむ、深むし煎茶セット

緑茶の魅力は、甘いものにも、しょっぱいものにもよく合うこと。それを味わえるのが、深むし煎茶セットです。深蒸し茶に、鹿児島の郷土菓子げたんは、漬物が楽しめます。


げたんはは、肝属郡錦江町で大正15年創業の「原製菓舗」の名物「ひとくちげたんは」。さくさくとした食感と香ばしい黒糖の風味が、緑茶のまろやかな旨みを引き立てます。添えられた「べったら漬け」は、鹿児島で昔から来客時のお茶請けとして漬物を出す習慣に由来するもの。甘みと塩みを行き来するひとときが、心をほどよく満たしてくれます。


このセットの楽しみは、急須でゆっくりと味わう深蒸し茶。一煎目はおよそ70℃のお湯で茶葉を広げ、まろやかな旨みを味わえます。セットには80℃のお湯が入ったボトルも付いているので、二煎目、三煎目は好きなタイミングで。茶葉がしっかり開いた後は、蒸らし時間を短くしてもうつくしい緑色で、一煎目よりもほどよい苦みや渋みのお茶が楽しめます。
さらりと飲める、香り豊かな人気メニュー「緑茶ラテ」

お茶をもっと身近に感じてほしいという思いから生まれたメニュー「緑茶ラテ」と「緑茶フラッペ」は、子どもから大人まで人気。 煎茶をそのまま微細な粉末に加工した粉末緑茶は、抹茶よりも、すっきりとした渋みと爽やかな後味です。そこに、オーツ麦を主原料とする植物性飲料のオーツミルクをあわせることで、緑茶の風味と香りを生かしたドリンクに。ほんのり甘みがありますが、素材そのものの味わいを楽しみたい人はシロップ抜きでも注文できます。


店内には、常滑焼(とこなめやき)の急須がずらりと並びます。愛知県常滑市を中心とした知多半島で、約900年の歴史を誇る伝統的な焼き物です。形や大きさはさまざまで、一人用の小さくかわいらしい急須も。持ち手や内側の茶こしにも種類があり、茶葉に合わせて選べます。



大隅半島の海と山が育んだ緑茶を、ゆったりと味わえる「teashop & cafe ten」。
どれもが、この土地ならではの豊かな香りを届けてくれます。時間に読点を打つような心地よい時間を。鹿児島の自然とお茶の恵みを堪能しに、ぜひ立ち寄ってみてください。
teashop&cafe ten
- 住所
- 鹿児島県肝属郡錦江町神川3352−1
- 電話番号
- 0994-25-1229
- 営業時間
- 11:00~16:30
- 定休日
- 金、月曜
- 可能な支払い方法
- 現金・クレジットカード・電子マネー
- 駐車場
- 有
- @teashop.cafe_ten
- ホームページ
- https://imakuma-tea.com/