縁側から見える庭や、囲炉裏のあるバーカウンターなどが広がる店内

鹿児島市街地から車で約50分。昔ながらの家々が並ぶ、南さつま市加世田の閑静なエリアに、2025年4月、「Innovative Pizzeria YUU（イノベーティブ ピッツェリア ユウ）」がオープンしました。フレンチレストランで修業を積んだ立石哲也さんと、イタリアンを学んだ弟・起也さんが生み出す革新的（＝Innovative）な料理が早くも人気です。

実はこちらのお店、以前、加世田内山田で13年愛されていた古民家カフェ「ハーブアンドカフェレストラン祐」のオーナー・立石祐子さんの息子たちが始めました。「この地頭所の地で新たにオープンするにあたり、世代交代することになりました。〝祐〟で人気のハーブティーは、こちらのお店の新しいメニューにもありますので、ぜひ楽しんでくださいね」と祐子さん。

立派な門をくぐると現れるのが、大きな庭に面した和風の建物。中に入ると、広い土間や高い天井と梁（はり）、縁側から見える庭、囲炉裏のあるバーカウンターなど、上質な空間が迎えてくれます。

哲也さんは、「もともとは別荘として作られた建物だったのですが、大家さんとの素敵なご縁があってお借りすることになりました。〝地域のために役立てたい〟という大家さんの気持ちに応えられるよう、料理を通してみなさんに愛される店づくりに努めてまいります」と笑顔で話します。

本格ローマピッツァをはじめ、フレンチと融合したコース仕立ての料理

一番人気の「ピッツァ or パスタランチセット」は、薪窯を使ったローマピザまたはパスタをメインに、アミューズ、前菜、サラダ、スープ、デザート付き。ピザがハーフ＆ハーフの場合は＋200円です。

この日のアミューズは「シフォンサレ」。サレはフランス語で「塩味」を意味し、野菜やスパイスなどを加えた甘くないシフォンケーキです。自家製ハムとタマネギなどが入り、手作りのマスタードソースが添えられています。
その横にある「牛肉とパルメザンチーズのタルタル」は、たたいた牛肉とパルメザンチーズを合わせ、低温調理で仕上げた一品。素材の味が引き立っていました。

季節のサラダの後はオードブル。季節の魚・カンパチを使ったカルパッチョには、イタリアンソースの他、なんとブルーチーズソースも添えられています。意外な組み合わせですが、新しい味に出会えるのも創作料理ならでは。

そして、スープにもひと工夫が。
タマネギとサツマイモの冷製スープには、ふわふわに泡立てた、コーヒーミルクを提供する直前にのせます。温度差で泡がゆっくりと溶けていき、ほんのりとしたコーヒーの苦みがアクセントに。

そして、忘れてはいけないのがピザ。
厨房の奥には、自慢のピザを焼く薪窯があります。石窯メーカーとして世界的に知られるイタリア・フィレンツェ近郊にあるValoriani社と日本の企業が共同開発したものなんだとか。

ここで味わえるピザは、ローマピザ。ナポリピザと比べ、生地が薄く、縁までさっくりとしたクリスピー感が特徴です。おいしく焼き上げるためには、窯全体をじっくり温め、窯の中の温度が均一になるようしっかりと管理することが大切。また、薪にもこだわりがあり、熊本県産の樫の木を使っています。安定した火力と火持ちの良さに加え、焼き上げたときの独特の香りが、ピザの風味を引き立てます。

「ローマピザは具材を楽しんでもらうピザ。トッピングするたっぷりの具材はもちろんですが、それぞれの具材に合わせてピザソースも手作りしています」と起也さん。この日は旬のエダマメとマルゲリータのハーフ＆ハーフをチョイス。エダマメの食感としっかりとした風味を感じました。
ピザは単品でも注文可能。定番の「マルゲリータ」やニンニクが香る「マリナーラ」、チーズを味わう「クワトロフォルマッジ」など、6種類以上がそろいます。

夜はアラカルト料理も。焼酎、ワイン、ウイスキーとのマリアージュも楽しんで

提供するアルコールドリンクにも、兄弟のこだわりが詰まっています。
ビールはサントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」や「モレッティ」の他、お気に入りの「ブリュードックパンクIPA」も提供しています。焼酎は「黒伊佐錦」「あらわざ桜島」「天文館」「三岳」「DAIYAME」など、鹿児島県内の蔵元のものも。ワインやカクテル、ウイスキーなどもあるので、料理との組み合わせなども、たずねてみてください。
夜はピザやパスタなどの単品のほか、地元食材を使ったアラカルト料理なども人気。コースは5,500円～（2日前までの要予約）。おいしい料理とお酒を、一緒に楽しんでみて。

上質な空間で工夫を凝らした料理に出会える「Innovative Pizzeria YUU」。南さつま市にでかけたときには、ぜひ立ち寄ってみてください。