世代を超えて、文学の世界に親しめる「かごしま近代文学館・メルヘン館」

世代を超えて、文学の世界に親しめる「かごしま近代文学館・メルヘン館」
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鹿児島市役所から、照国神社方面に歩いて約10分。県立博物館や図書館、市立美術館など、文化的なスポットが点在するエリアの一角に、「かごしま近代文学館」と「かごしまメルヘン館」(以下、「近代文学館」、「メルヘン館」)があります。

館内には、絵本や紙芝居が親子で読める「親子読書コーナー」や、鹿児島ゆかりの文学雑誌・作品が読める「ライブラリー」と、無料で利用できるスペースが。近代文学館で紹介されている作家の作品や、企画展に関するグッズが購入できる物販コーナー、一息つける喫茶店もあります。

▲物販コーナー

1998年の開館以来、子どもから大人まで、文学や物語に触れられる場所として、鹿児島県民に親しまれている「近代文学館」と「メルヘン館」。今回は、それぞれの見どころを紹介していきます。

鹿児島の文学を辿る「かごしま近代文学館」

館内に入って左手にあるのは、鹿児島ゆかりの作家や、鹿児島を舞台にした作品が紹介されている「近代文学館」。1・2階には常設展示場が広がり、2階には、展覧会や講演が定期的に行われる「文学ホール」もあります。

◆鹿児島ゆかりの5人の作家や、その作品を取り上げた1階常設展示

1階の常設展示場に入ると、鹿児島の風景と文学作品を動画で紹介する「鹿児島情熱絵巻」や、鹿児島ゆかりの28人の作家のポートレートが来館者を迎えます。

▲ひらがなや言葉に触れられる、タッチパネル型の展示
▲鹿児島ゆかりの作家の本や、話題書などが読めるスペースも

奥へ進むと、「鹿児島ゆかりの作家たち」のコーナーが。ここでは、海音寺潮五郎・林芙美子・椋鳩十・梅崎春生・島尾敏雄の5人に焦点を当て、ジオラマや資料、実際に使っていた愛用品などを通して作品や生涯を紹介しています。

▲文献を開いたまま並べられる海音寺考案の棚
▲左から)パリ・屋久島・漢口のトランク

例えば、歴史小説作家・海音寺潮五郎のコーナーでは、書斎の机を展示。本棚には、資料や文献を同時に開いて確認できるような工夫がみられます。「放浪記」の作者・林芙美子の展示では、彼女が旅した場所の地図や新聞の切り抜き、手記などを収めた3つのトランクや、彼女がこだわった本の装丁などが並びます。

小学生の国語の教材にもなっている、「大造じいさんとガン」で知られる椋鳩十の展示も必見。離島を含む鹿児島全域の地図の上には、各地で生まれた作品に登場する動物のフィギュアが置かれ、子どもも楽しみながら学べるような工夫がされています。

さらに、作家たちの取材ノートや、テレビ出演映像、遺族や友人のコメントなど、作家の素顔が知れる展示も多数。文字や写真でしか知らなかった、作家たちの息遣いまで感じることができますよ。

◆多彩な22人の作家と、“向田邦子の世界”に触れる2階常設展示

2階常設展示「鹿児島文学の群像」では、小説家をはじめ、詩人や歌人、俳人など、幅広い分野で活躍した22人の作家を紹介。
企画展も不定期で開催されており、2025年11月5日~2026年1月26日には「向田邦子の映画のススメ」が開催されています。詳しくは、近代文学館のホームページで確認を。

また、鹿児島を「故郷(ふるさと)もどき」と呼んで愛した、向田邦子に関する展示「向田邦子の世界」も。
ここでは、生前の愛用品や原稿、テレビ出演映像、実際の留守番電話の音声などを通して、彼女の生涯と作品を紹介。約13,000点にのぼる収蔵品を持つ近代文学館ならではの、充実した内容です。

愛猫とともに暮らしていた、リビングを再現したスペースや、エッセイに登場する、当時の鹿児島の情景を地図と照らし合わせたパネルも常設されており、彼女の感性や生き方を身近に感じられるのも魅力です。
展示内容は1年ごとに一部入れ替わり、訪れるたびに新しい発見があるのも楽しみのひとつ。取材時には、雑誌「an・an」で連載していた「男性鑑賞法」にまつわる展示が行われていました。

おとぎ話の世界を体感できる「かごしまメルヘン館」

館内入って右手にあるのは、「かごしまメルヘン館」。童話や民話の世界を五感で楽しむ体験型施設です。2011年のリニューアルを経て、展示や上映作品が刷新されました。この日も、幼稚園児や保育園児が、“おとぎの世界”の中で全身を使って楽しんでいました。

▲乳児も遊べるコーナー
▲「ふしぎな鏡」

1階の「おはなしのまち」は、「ヘンゼルとグレーテル」に出てくるお菓子の家や、「ジャックと豆の木」をイメージしたアスレチックなど、遊びながら作品の世界が楽しめるコーナーになっています。画面に映る自分の姿が白雪姫や孫悟空に変身する「ふしぎな鏡」も人気です。

階段もしくはエレベーターを使って、3階まで上がると、らせん状になった「おはなしの散歩道」に。壁には「不思議の国のアリス」の物語をテーマにしたトリックアートが描かれ、子どもはもちろん、フォトスポットとして楽しむ大人も少なくありません。

途中には、メルヘン館おすすめの絵本が読める「絵本の小部屋」と、人形や玩具で遊べる「人形の小部屋」があります。

地下1階の「わくわくスタジオ」では、来館者と一緒に物語を作っていく参加型映像「まっしろな絵本」を上映。さらに、人形やブリキ玩具、からくり人形などの展示もあり、定期的に内容が入れ替わります。取材時は「素材は何でできている?」をテーマに、人形の素材に焦点を当てた展示が行われていました。


穏やかに時間が流れる「近代文学館」と、子どもたちが元気に楽しむ「メルヘン館」は、年代に合わせた文学や物語の世界に浸れる、魅力的な場所です。周辺の文化施設や、近くの飲食店とあわせて巡れば、丸1日たっぷり楽しめます。
「親子読書コーナー」では、毎週月曜日と土曜日に、絵本の読み聞かせなどが行われる「おはなしのじかん」「えほんのじかん」を開催しています。そのほか、近代文学館では文学にまつわる講座や朗読会などが開催されることも。詳しくは、ホームページのイベントカレンダーをチェックしてみてください。

INFORMATION

かごしま近代文学館・かごしまメルヘン館

住所
鹿児島県鹿児島市城山町5-1
電話番号
099-226-7771
開館時間
9:30~18:00(入館は17:30まで)
休館日
火曜(休日の場合は翌平日)
年末年始(12月29日~1月1日)
常設観覧料金
◆かごしま近代文学館・かごしまメルヘン館
一般:600円(450円)
大学生・高校生:450円(370円)
中学生・小学生:300円(220円)

◆共通
一般:1,000円(750円)
大学生・高校生:750円(610円)
中学生・小学生:500円(360円)

※()内は、鹿児島市居住者の観覧料金です
※特別企画展の料金や、団体割引、年間パスポートについては公式ホームページをご確認ください
可能な支払い方法
現金・クレジットカード・電子マネー
Instagram
@kinmeru
本記事はライターが取材・校正を行った上で作成した記事です。
内容は2025年12月時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
※可能な支払い方法にある電子マネーにはQRコード決済も含みます。

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