薩摩型和船を眺め、木の温もりを感じる穏やかな時間

鹿児島市街地から車で約1時間。いちき串木野市にある国の登録有形文化財「市来大迫家住宅」の隣に、伝統的な木造船・薩摩型和船の実物を展示する「MuseumCafe舟(ミュージアムカフェふね)」があります。ここは、展示を眺めながら食事やスイーツを楽しめる、“学び”と“くつろぎ”が同居するカフェです。



焼杉の外壁には、市来大迫家住宅の瓦に描かれた、波間を走る帆掛舟(ほかけぶね)をモチーフにしたロゴが大きくあしらわれています。店内に一歩入ると、杉やヒノキをふんだんに使った開放的な空間が広がり、木の温もりと香りに包まれます。ステンドガラスから差し込むやわらかな光と、静かに流れるクラシック音楽が心をほどいてくれるよう。

「MuseumCafe舟」をオープンしたのは、国の登録有形文化財・市来大迫家住宅で生まれ育った相良正子さん。文化財に登録された歴史ある建物を、ただ保存するだけでなく、多くの人に文化や歴史を知ってもらうために、より開かれた存在にしたい。その思いから、このミュージアムカフェは生まれました。
「MuseumCafe舟」は、誰もが気軽に立ち寄れる憩いの場であり、文化や歴史に触れる“学びの入口”でもあります。展示や食事を通して歴史に触れながら、ゆったりとした時間を過ごせる場所として親しまれています。
薩摩型和船の歴史と、建造技術に触れる展示について

「MuseumCafe舟」の構想に関わったのは、博物館や公共施設の企画・総合プロデュースを数多く手がけてきたミュージアムプロデューサー・砂田光紀さん。昭和中期まで南九州で建造されていた「薩摩型和船」の技術を後世に伝えるため、実物の建造と記録保存に取り組んできました。
その志と、大型定置網の網元を家業の一つとしてきた大迫家の歴史が重なり、「MuseumCafe舟」は誕生しました。


店内には、大迫家に残されていた薩摩型和船や漁の古写真のほか、建造技術の記録や道具などが展示されています。食事やカフェを楽しみながら、歴史に自然と触れられるのも、この場所ならではの魅力です。
展示を見ながら楽しむ食事やスイーツ、ドリンクメニューを紹介
カフェでは、食事をはじめ、スイーツやドリンクメニューがそろいます。食事は季節ごとに内容が変わり、スイーツは定番の「バスクチーズケーキ」のほか、冬限定の「シトラスケーキ」や「特製ぜんざい」など、季節を感じられるメニューが楽しめます。
◆このときの食事メニュー「スープ仕立てのロールキャベツ」

コンソメスープでじっくりと煮込んだ、やさしい味わいのロールキャベツ。塩だけで調えた豚ミンチとタマネギのシンプルな餡を、キャベツとベーコンで包んでいます。フォークを入れるとすっと切れるやわらかさ。豚の旨みとベーコンの風味がスープに溶け込み、最後の一口まで味わい尽くしたくなる一皿です。


全粒粉パンとミニフォカッチャの2種類。シーザードレッシングのサラダと、オリーブオイル、酢、柑橘の果汁で仕上げたキャベツのマリネがセットです。
◆大人の味わい、硬めの食感の「舟のプリン」

おすすめのスイーツは「舟のプリン」。四角い形が舟を思わせる、かわいらしい手作りプリンです。レトロ感のある硬めの食感が心地よく、ほろ苦いカラメルとともに楽しむ大人の味わいに仕上がっています。
◆季節限定のフルーツパフェ「苺畑からの風」/冬から春にかけての限定メニュー

冬から春にかけて登場するのが、イチゴを使った季節限定のフルーツパフェ「苺畑からの風」。フレッシュなイチゴを花びらのように重ねた華やかな盛り付けは、ひと目で春の訪れを感じさせます。

なめらかな生クリームとクリーミーなバニラアイスに、食感のアクセントとなるシフォンケーキのラスクを重ね、仕上げは甘酸っぱいイチゴジャムの果肉でさっぱりとした後味に。ひと口ごとに変わる味わいが楽しく、イチゴ好きにはたまらないスイーツです。
季節のスイーツはInstagramで紹介しているので、訪れる前にチェックしてみて。
◆ミルクの甘さと、うつくしい層のドリンク「オレグラッセ」

冷たいミルクとコーヒーが美しい層を描く「オレグラッセ」。フランス語で“艶を出す牛乳”を意味し、甘いコンデンスミルクやシロップを加えたミルクの上に、濃いめのアイスコーヒーを静かに注いで仕上げます。さらにポーションミルクを加えることで、三層のコントラストが完成します。

混ぜずに飲めば、ミルクの甘さとコーヒーのコク、ほろ苦さが際立つ奥行きのある味わいに。混ぜるとやさしい甘さのカフェオレのようになり、幅広い世代が楽しめる一杯です。
そのほか、コーヒーや紅茶、季節限定がそろうドリンクメニュー。スイーツまたは食事と一緒に注文すると200円引きになるうれしいサービスも。もちろん、ちょっとひと息つきたいときの利用にもおすすめです。


和船が語る歴史に触れ、木の温もりに包まれながら過ごすカフェ時間。ここには、忙しい日常のなかで忘れがちな“ゆっくりと流れる時間”があります。 次の休日は、いちき串木野まで小さな旅へ。心をほどくひとときを見つけに、「舟」を訪れてみてはいかが。
大正期の面影を残す国登録有形文化財「市来大迫家住宅」(事前予約制)

1916年に建築され、1941年には明治天皇の孫・竹田宮恒徳殿下が宿泊された由緒ある邸宅「市来大迫家住宅」。2018年3月、国の登録有形文化財に指定されました。現在は事前予約制で一般公開されています。
※撮影は取材のため特別に許可を得ています




意匠が高く評価された繊細な天井や建具、趣ある欄間など、当時の職人技が随所に息づいています。邸内には、竹田宮殿下と交わした書簡をはじめ、歴史を物語る貴重な資料も展示されています。 季節の花が彩る広大な庭園では、巨石や奇石の間に植え込みが配され、四季折々の景色を楽しめます。敷地内の土蔵は、大迫家の歩みを伝える資料を展示するギャラリーとして公開されています。


見学料:700円(小学生以下は無料)
開館時間:10:30~16:30(最終入館16:00)
※事前予約制で、①10:30~②13:00~③14:30~の3部構成です。
定休日:火・水曜(祝日の場合は翌日振替)
お問い合わせ:InstagramDMで(会館時間内の対応になります)
※邸内・土蔵内の撮影はご遠慮ください。
MuseumCafe舟(ミュージアムカフェふね)
- 住所
- 鹿児島県いちき串木野市湊町3丁目11
- 電話番号
- 090-8665-0035
- 営業時間
- 10:30~16:30(L.O.16:00)
- 定休日
-
火曜
※祝日の場合は翌日に振替 - 可能な支払い方法
- 現金・クレジットカード・電子マネー
- 駐車場
- 有
- @osako.funecafe