天文館から車で約25分、桜ヶ丘からさらに坂を登った魚見町の住宅地に窯元「眞窯」があります。鹿児島湾の海と船、桜島を眺めることのできるこの場所で、陶芸家の原田さんは窯とギャラリーを開きました。
予約制のギャラリーは、清潔感ある明るい空間で穏やかな音楽が流れます。ガラスドアは大きく開き棚は可動するため、車椅子の人にもゆっくりと見てもらえる造りになっています。
「子どもの頃、体調を崩し寝たきりになったとき、カップが重くて持てなかった。器は軽くないと使いづらいんだという経験が今に生きています」と真っ直ぐな瞳で話してくれた原田さん。〝食べる〟ことは必要不可欠なことだからこそ、体調を崩している人や体が不自由な人の〝食べたい〟〝持ちたい〟という自発的な行動を大切にしたいと言います。そのため「眞窯」の器は、見た目はもちろん、持ちやすい重さや形状など、使い手を思い設計されています。
温かみがある土の風合いで美しいデザイン「重なる」シリーズと「1015」(イチマルイチゴ)シリーズ
薩摩焼の発祥地である加治木町の粘土を使用した器は、配合を何度も試して完成したもの。多くの窯元では粘土の採掘地や配合の比率を秘密することがほとんどですが、「眞窯」では器の特徴として、あえて配合をマークで印しています。
◆落としにくい形状の器として生まれた「重なる」シリーズ
段がちょうど手に引っかかるため、スッと持ち上げることができる「重なる」シリーズは、表面は滑りにくい土の質感で、口縁は口あたりよく設計されています。口縁の色は、黒・緑・茶と3色から選べ、テーブルに置いているだけで様になる、カッコいいデザインが人気のシリーズです。
◆シンプルな形状で何にでも合う万能な「1015」シリーズ
「お湯のみがほしい」と話す女性の、まるで小鳥を抱くような手のしぐさから着想を得てできた「1015」シリーズのFree(フリー)。小さすぎず大きすぎず、今までにないサイズのお湯のみは、ちょっとコーヒーにもちょうどよく、野菜スティックを入れるなど万能で機能的です。
◆「重なる」シリーズと「1015」シリーズを重ねてみました
「眞窯」の思いがつまった、それぞれの器がもつ魅力
◆たくさん食べたいと思う気持ちに「デザートボウル」
たくさん食べたいけれど、食べられない人を思い設計された「デザートボウル」。浅く量は入りませんが、広く開いた形状でボリュームを感じることができます。高台は大きく高さがあるため、手を添えたときに指が収まり安定感が。デザートはもちろん、さまざまな料理に重宝する、白と黒の2色があります。
◆おもてなしの気持ちに「付けもん皿」(ちけもん皿)
鹿児島弁で〝付(ち)けもん〟とは「あなたに会えて嬉しいからもう一皿料理を付けます」というおもてなしの心を意味します。色は白と茶色があり、桜島が描かれ器とパッケージで、鹿児島のお土産としても人気。小鉢はもちろん、醤油皿としてもちょうどいい器です。
◆技術者と協同してできた「麻模様の陶板」
麻模様の美しさをだすために、何度もやり直し試行錯誤して出来た「麻模様の陶板」は、隼人工業技術センターと協同制作の器です。2018かごしまの新特産品コンクールで鹿児島県貿易協会会長賞を受賞しました。
落ち着いた美しさがあり、お客さまをもてなす器としても最適です。
「手の大きさや厚み、障がいの程度など、人によってさまざま。すべての人にぴったりの器を作ることはできないけれど寄り添っていきたい」という原田さんが作る器は、どれも温かみと優しさを感じます。
ギャラリーは、予約制で前日までの予約を。オンラインでの注文は、HPとInstagramのDMからもできます。
丁寧に作られた「眞窯」の器を、ぜひ手に取ってみてください。
眞窯
- 住所
- 鹿児島県鹿児島市魚見町160−15
- 電話番号
- 099-266-3487
- 営業時間
-
11時00分~19時00分
※前日までに予約をお願いします - 定休日
- 無
- 可能な支払い方法
- 現金・クレジットカード・電子マネー
- 駐車場
- 有
- @makotokiln