特攻の史実を伝え、平和への願いを発信する「知覧特攻平和会館」。企画展「空と海の特攻 四宮 徹少佐 〜はがくれ隊(震天制空隊)隊長/第19振武隊長〜」を開催中(~11月5日まで)。本企画展では、四宮少佐の日記、家族へ宛てた手紙や葉書、遺書などの遺品を中心に展示し、「空対空特攻」「空対艦特攻」の経緯や当時の状況を紹介します。
四宮 徹(しのみやとおる)少佐(※戦死後の階級)は、敵機に航空機で体当たりする〝空対空特攻〟と艦船への〝空対艦特攻〟の二つを実施した唯一の特攻隊員です。陸軍士官学校を卒業後、飛行第244戦隊に配属されて東京防空の任務に当たりました。
昭和19年11月より米軍の戦略爆撃機B-29が関東上空に飛行するようになりましたが、高々度を飛行する敵機に、日本軍は有効な攻撃を行えませんでした。そこで、起死回生の攻撃法として〝空対空特攻〟を決定します。
四宮少佐は飛行第244戦隊で編成された「はがくれ隊(震天制空隊)」の隊長となり、12月3日の戦闘でB-29に体当たり攻撃を行い、片翼を損傷しながらも奇跡的に生還しました。その後、空対空特攻の第2振武隊長(後に第19振武に改称)になり、昭和20年4月29日、沖縄島周辺の敵艦船を目指して知覧飛行場から出撃しました。享年22歳。
【関連イベント】学芸員による講座・ギャラリートークを開催
参加料無料、入館料のみで参加できます。事前申し込み不要。
◆講座(学芸員が企画展の内容を詳しく解説)
日程:7/27土、8/24土、9/21土
時間:10:30〜、14:30〜(約30分)
会場:知覧特攻平和会館 講話室
◆ギャラリートーク(学芸員が展示の見どころを企画展示室で紹介)
日程:8/10土、9/27土、10/5土
時間:10:30〜、14:30〜(約30分)
会場:知覧特攻平和会館 企画展示室
◆夏休み特別企画 〜「夏休みの自由研究サポート」開催〜
夏休み期間は特攻に関心をもって来館する子どもたちが多く見られます。そこで、知覧特攻平和会館では7/22〜8/30の期間限定で、平和会館の学芸員と一緒に館内を回ったり質問ができる「夏休み自由研究サポート」を開催します。対象は小学生・中学生・高校生及びその家族(1組5名程度)。
※申込みはこちらから
(受付は終了いたしました。たくさんのご応募ありがとうございました)
・申込期間 ~7/31まで
・実施期間 7/22~8/30の平日のみ
・午前の部 10:30~12:00
・午後の部 13:00~14:30
(午前と午後の部、各1組ずつ)
・場所/知覧特攻平和会館館内
◆知覧特攻平和会館学芸員・八巻 聡さんに「空と海の特攻 四宮 徹少佐」企画展の見どころを聞きました
- 今回の企画展で伝えたいことや見どころを教えてください
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航空機による特攻といえば、敵の船への体当たりをイメージすることが多いと思います。実は、敵機(B-29)に体当たりする〝空対空特攻〟という攻撃法も行われました 。敵機は高度10000mで飛来してきましたが、それは世界最高峰のエベレスト(8848m)よりも高い高度です。そこは空気が薄く、気温もマイナス50度にもなる厳しい環境です。四宮少佐は軽量化した機体で高々度まで上昇して敵機(B-29)に体当たりを行い、片翼を損傷しながらも奇跡的に生還しました。このことは当時の新聞で大々的に紹介されました。
四宮少佐は空対空特攻の生還後、今度は空対艦特攻の振武隊長となりました。昭和20年4月29日、知覧飛行場から出撃し、戦死しました。
空対空特攻と空対艦特攻があったこと、そしてこの2つを行った特攻隊員がいたことをこの機会にぜひ知って欲しいです。 - 展示品の見どころは?
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四宮少佐の遺品は日記の他、家族へ宛てた手紙や葉書、遺書などが残されています。そこには日々の反省とともに、任務に対する責任感や闘志、家族を想う言葉が綴られています。遺品に記された文面にふれると、隊員の心情をより近く感じ、思いを巡らせることができるのではと思います。
- この夏初めて開催する「夏休み自由研究サポート」は、どんなことをするんですか?
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戦後79年が経過して、身近な人から戦争の話を直接聞くことが難しい時代になりました。小中高生の若い世代には、当時の状況や特攻隊のことを知って欲しいと思っています。「夏休み自由研究サポート」では、学芸員が一緒に館内を回ってわかりやすく説明をします。気軽に質問もできます。戦争や特攻をテーマに自由研究を考えている方は、この機会をぜひ活用してみてください。