天降川の川沿いに温泉宿が点在する妙見温泉、そこにひっそりとたたずむ「忘れの里 雅叙苑」があります。自然豊かな山あいの石畳の道を進むと、大きな茅葺の古民家が建ち並ぶ山村のような雰囲気の場所にたどり着きます。ここは〝日本人の心の原風景〟を大切にした宿で、2024年7月に「1ミシュランキー」に選ばれました。
「雅叙苑」が選ばれた1ミシュランキーの基準とは
ミシュランキーとは、ミシュランガイドによるホテルの新たな指標で、2024年には国内初となる108軒の旅館・ホテルに1から3までのミシュランキーが発表されました。「1ミシュランキー」は〝特別な滞在を提供する宿泊施設〟とされ、「型にはまらず、他にはない体験を提供している。サービスは常に一歩先を行き、同じ価格帯の宿泊施設より、はるかに多くのことを提案している」という基準が設けられています。
■ミシュランキーの5つの評価基準
1. ホテル自体が旅の目的地であり、その土地ならではの体験ができる
2. 素晴らしい建築とインテリアデザイン
3. サービスの質、快適性、メンテナンスが行き届いている
4. 価格に見合った体験ができる
5. 施設の個性やユニークな特徴を反映した独自性がある
ミシュランガイド引用:「ミシュランキー」について知っておきたいこと
往年の暮らし、日本の趣が感じられる自然豊かな宿「雅叙苑」
大きな木々や脇道に咲く花や雑草、山の自然はそのままに四季を感じられる環境です。フロントの建物の隣にある囲炉裏小屋では、訪れた人や宿泊客が自然を眺めながらくつろいだり、本を読んだりと各々の時間を過ごしていました。
世代を越えて雅叙苑内で暮らす2羽のニワトリが自由に散策し、卵が孵化するとひよこが歩き回る可愛らしい様子が見られることもあります。晴れの日の自然の美しさはもちろん、雨の日も空気がいっそう澄みわたり、緑の色がより鮮やかに。あたりは自然の音だけが聞こえ、まさに〝清閑〟とはこのことだと気づかされます。
◆まずはホッと一息、おもてなしの風習を
「お茶でもどうぞ」という日本のおもてなしの心。道中の疲れをホッと癒やしてくれるのがお着き菓子です。そば粉で作るよもぎの団子は、サツマイモ餡で優しい甘さ。茶葉のいい香りがたつ霧島茶と一緒に、青竹で作った楊枝でいただきます。
食の贅沢〝自然の恵み〟を郷土の味覚で味わう会席
「雅叙苑」が料理で大切にしていることは〝地域の特性、先人たちの生活の知恵食を残す〟こと。昔ながらの暮らしを大切にしているからこそ、のびのびとした自家養鶏場で地鶏を育て、天空の森にある段々畑で野菜を作っています。
「地鶏の鍋」は、骨付きの地鶏、地鶏のつくね、焼きネギ、葉物野菜、サツマイモのでんぷん粉で作る団子が。味付けは塩のみととてもシンプルながら、じっくり丁寧に煮込んだ鶏の旨みがたっぷりと味わえる鍋になっています。「地鶏の刺身」は、もも肉、ささみ、むね肉と部位ごとの旨みと食感を、甘めの醤油で味わうことができます。
「季節の野菜盛り合わせ」は、その時期に採れる野菜が味わえます。この日は、夏から秋に変わろうとする時期で、焼きナスやしいたけと秋の食材も。ツワブキの葉に、サンキライが添えられた見た目も美しい一品です。
夕食では、このように風土や自然の恵みである素材の味や香りを最大限に引き出した料理が、10品ほど振る舞われます。朝食は「水屋」にて、魚の種類や卵料理の調理方法を選び、焼きたて・作りたての料理が楽しめます。
雅叙苑で初めて移築した茅葺の古民家で、ある食事処「銀杏の間」で朝食と夕食をいただきます。
〝自然の恵み〟自然と湧き出る自噴泉を贅沢に楽しめる温泉
昔よりラムネ湯と親しまれる温泉で、泉質はナトリウム・カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩泉。重曹成分が皮膚表面の皮脂や汚れを洗浄することから、美肌の湯といわれる泉質だそうです。鉄分を多く含む湯は、湧き出たときは透明で、空気にふれると茶褐色の湯の花が見られるといいます。
巨大な一枚岩を半年がかりでくりぬいて造り上げた「建湯(たけるゆ)」は、加水なしの源泉100%の温泉です。この温泉を宿泊者以外の人も楽しめる、日帰りランチプランがあります。
「建湯」からさらに川岸に行くと「ラムネ湯」があります。下から温泉が自然湧出する自噴泉です。よく見るとしゅわしゅわと炭酸泡が。「ラムネ湯」は宿泊者限定で楽しむことができます。
全室温泉付きの日本家屋で、贅沢な空間のある客室
天降川に面する広い畳座敷と半露天の内湯を備えたお部屋です。全開口の大きな窓により、周囲の自然を間近に感じながらゆったりと過ごすことができます。
昔ながらの造りである和室の横には、露天風呂とベッドのあるオープンテラスと贅沢な空間。離れ家形式の客室は全8室で、全室に100%源泉かけ流しの温泉が備わっています。
この小さな集落では、食事や温泉、暮らしとさまざまな原風景が体現できます。田んぼを守り、稲作の豊穣(ほうじょう)をもたらすといわれる田の神さまが山道に隠れていたり、夜になると竹筒に灯された蝋燭の明かりが灯されたりします。
朝食・夕食の時間が近づくと、水屋からもくもくと釜戸の煙があたりに漂い、以前の暮らしはこうであったのだと気づかせてくれます。
自然の恵みを暮らしとともに感じる、そんな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。ぜひおでかけしてみてください。
忘れの里 雅叙苑
- 住所
- 鹿児島県霧島市牧園町宿窪田4230
- 電話番号
- 0995-77-2114
- チェックイン
- 14:00 ~(最終チェックイン:18:30)
- チェックアウト
- ~12:00
- 可能な支払い方法
- 現金・クレジットカード・電子マネー
- 駐車場
- 有
- @gajoen2114