
鹿児島中央駅で久しぶりに見かけた、国分駅行きの一両列車。
ホームにぽつんとたたずむ姿は小動物のようで、かわいらしさに誘われるように乗り込んだ。

ところが、車内に足を踏み入れた瞬間、想定外の現実が待っていた。
冷房は「控えめ」というより、ほぼ存在感なし。天井で小さな扇風機が「ほら、頑張ってるでしょ?」とでも言いたげに回っているけれど、肝心の風は届かない。ほぼ満員の車内は、ただでさえ狭い空間に熱気がこもり、息苦しい…。すぐ前方に見える車掌席も、この暑さから逃れられるとは思えない。
幸い降りるのは次の駅だったが、あと数駅続けば危なかったかもしれない。熱中症という言葉が頭をよぎった…。
異常とも言える猛暑が日常になりつつある今、乗客だけでなく、そこに働く人を守る快適な環境整備は“任意”ではなく、“必須”だ。どんなに短距離運行であっても、最低限の冷房設備は備えてほしい。「今までこれでやってきたから…」という感覚は、危険を招く古い常識になりつつある。
この小さくかわいらしい列車は、地方鉄道の魅力そのものだ。
だからこそ、大きな安心と、みんなを笑顔にする涼やかな風を乗せて走ってほしい。
JR九州さん頼みますよー。
そう願いながら、我先にと降り立ったホームで、フレッシュな風を胸いっぱいに吸い込んだ。