南日本リビング新聞社が子どもとその家族、地域とともに取り組む「防災・減災プロジェクト」。今年度は、11月30日に田上小学校、12月1日に鹿児島大学教育学部附属小学校でワークショップを開催しました。専門家の講座を通して、命を守る心構えや行動について学んだ子どもたち。今回のリポートでは、その様子を紹介します。
命を守る行動を専門家から学ぼう
南日本リビング新聞社主催の「防災・減災プロジェクト」では、専門家による講座を通して災害への備えを考えるワークショップを、田上小学校と附属小学校で開催。小学1〜6年生と保護者が参加し、防災への意識を高めました。
今回のテーマは「地震」と「津波」。ワークショップでは、地震や津波が起きた時に、自分の周りでどんな被害が出るのか。そして、災害が起きる前にできる備えや、発生した時にどんな行動をとればいいのかを、専門家と一緒に考えていきました。
監修を務めた鹿児島大学教育学部の准教授・黒光貴峰さんは「災害はいつ起こるか分かりませんが、事前に準備しておくことで被害を減らすことができます。いざという時に備え、家族でも改めて話し合ってほしいです」と子どもたちへ語りかけました。
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【ステップ1】地震・津波の怖さを学び、避難行動を考えよう
まずは鹿児島地方気象台による授業。日本が世界有数の〝地震国〟であることや地震発生のメカニズム、津波が予想される時に発表される警報や注意報について話を聞きました。
続いて、架空の町で大地震が発生し、大津波警報が発表されたという想定で、自分ならどうするのかを班ごとにシミュレーションしました。大きな揺れの最中や、揺れがおさまった後にどう行動するのか、そして津波が迫る中どこに避難するのか、などを真剣にディスカッション。命を守るためにどうすればいいのか、子どもたちは活発に意見を出し合いました。
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【ステップ2】災害時の食器を作ろう
2講座目は、鹿児島大学教育学部の黒光貴峰さんによる授業です。災害時は食器が割れたり、あっても断水で洗えない場合も。そこで、身近なものでできる〝食器〟作りについて学びました。
子どもたちが挑戦したのは、新聞紙で作る器と、牛乳パックで作るスプーン。「新聞で器ができるなんてびっくり」「簡単だから災害の時も作ってみる」などと話しながら、上手に作っていきました。
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【ステップ3】防災食にチャレンジ
ワークショップでは、Table of Smileの杉水流直子さんに教わりながら、防災食作りにもチャレンジしました。災害が発生すると、電気や水などが止まってしまうことも。洗い物を減らし、火にかける時間を短くするよう考えたメニュー「鶏のみそ漬け焼き」を、みんなで作りました。野菜は火が早く通るよう薄く切り、鶏肉と一緒にアルミホイルで包んで焼きます。「いただきます」と食べ始めると、どのテーブルからも「おいしい!」の声が上がっていました。
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【ステップ4】地域を知って防災マップ作り
午後からは日本赤十字社鹿児島県支部による「災害図上訓練」を実施しました。各班に配られたのは、学校周辺の大きな地図。地域の人や保護者にも参加してもらい、防災マップ作りに取り組みました。
子どもたちは河川やブロック塀など災害時に危険な場所、車が通れない細い道、役立つ施設や頼れる人、手助けがいる人の場所などを確認し、地図に書き込みます。そして、地域や家で起こりうる被害を考え、身の安全を守るためにどんな取り組みが必要かを話し合いました。子どもたちからは、防災グッズの準備や家具の固定、地域での避難訓練の実施など、さまざまな意見が飛び交っていました。
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【ステップ5】自分の身を守るために!
最後は、鹿児島大学の黒光さんと学生たちによる授業。災害時に役立つ防災グッズを入れた「防災ポーチ」と、緊急時の連絡先や避難場所、自分の情報を記入した「まもりんカード」の作成に取り組みました。「地震は、いつどこで発生するか分かりません。学校や習い事への行き帰り、1人でいる時に発生する可能性もあります。ポーチやカードを持ち歩くことで、緊急時に冷静に対応する助けになります」と黒光さん。
地震と津波から命を守る心構えと行動を学び、1日を通して防災への理解を深めた子どもたち。「地震や津波の怖さを知った」「災害が起こったら今日学んだことを生かしたい」など、意欲的な意見が多数上がりました。
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ワークショップを終えてー
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田上小学校は新川沿いにあり、近くには高速道路や山もあります。地震・津波発生時の危険箇所として、子どもたちからは「津波が川をさかのぼる」「道路にひびが入る」「土砂崩れが起きる」などの意見が出ました。地域のことを知り、日頃の備えの重要性を学んだ1日でした。
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鹿児島大学教育学部附属小学校は、市電やバスが走る主要道路に面しています。防災マップ作りでは「市電が脱線する」「信号が止まって渋滞が起こる」などの意見に加え、「結構細い道が多い」といった発見も。多くの気付きがあり、防災・減災を考える大切さを実感しました。
協賛企業/鹿児島トヨタ、ジェイフィットホーム、ヤマサハウス、こくみん共済 coop 鹿児島推進本部、日之出紙器工業、一条工務店、アミュプラザ鹿児島、九州電力送配電、鹿児島日産自動車(順不同)
協力/鹿児島大学教育学部、鹿児島地方気象台、日本赤十字社鹿児島県支部、田上校区まちづくり協議会
主催/南日本リビング新聞社
後援/鹿児島市、鹿児島市教育委員会