特攻の史実を伝え、平和への願いを発信する「知覧特攻平和会館」。現在、企画展「女学生が見た戦争―知覧高女生と特攻隊員―」を開催中です。
太平洋戦争末期、男性の多くは兵役につく一方、女性や子どもは銃後で工場作業や奉仕活動に協力しました。知覧にあった高等女学校に通っていた生徒たちも長崎の軍事工場で魚雷作りに従事したり、特攻基地となった知覧飛行場で奉仕活動に参加しました。79年前の生徒たちは、学ぶ機会を戦争によって失ったのです。
本企画展では、南九州市に所在した高等女学校に通った女学生たちの戦争体験を紹介すると共に、彼女たちが奉仕活動を通して交流した特攻隊員の関連遺品を展示します。
■ギャラリートーク
学芸員が展示の見どころを紹介
日程:5/11(土)・6/8(土)
時間:10:30〜、14:30〜(約30分)
会場:知覧特攻平和会館 企画展示室
■関連講座
学芸員が企画展の内容について詳しく解説
日程:4/27(土)・5/25(土)
時間:10:30〜、14:30〜(約30分)
会場:知覧特攻平和会館 講話室
■知覧特攻平和会館学芸員・羽場恵理子さんに企画展で伝えたい思いや見どころを聞きました
- 企画展で伝えたい思いを教えてください
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知覧高等女学校3年生の生徒が知覧基地へ奉仕作業に行った「なでしこ隊」は有名ですが、他の学年の生徒たちも、地元で防空壕を掘ったり、学徒隊として長崎県の軍事工場へ行ったりして、当時は多くの生徒が“戦争”で学ぶ機会を失いました。
現在の私たちは、いろいろなことを勉強できる機会に恵まれているので、勉強したくてもできなかった時代を想像したり、思いをめぐらせたりするのは難しいことかもしれません。そこで、戦時中の女学生の体験を知ることで、戦争の悲惨さや平和の尊さについて、あらためて考える機会にしてほしいと思い、今回の企画展では”女学生”に焦点を当てました。 - 貴重な資料が多いですね。展示の見どころは?
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【知覧高等女学校の生徒が所持していた裁縫の教科書】
最近ご寄贈いただいたもので、本展が初公開。知覧高等女学校で使用した教科書は今まで当館に所蔵がありませんでしたので、とても貴重な資料です。
【なでしこ隊「特攻日記」(南九州市指定有形文化財)】
今回原本を展示しています。また、中身のページを撮影し書き起こして、読みやすくしたファイルも展示しています。
【元知覧高女生の証言映像】
4名の元知覧高女生の証言映像を、約10分ずつにまとめて上映しています。当時聞き取り調査を受けて下さった方々も、現在多くの方が鬼籍に入られました。こちらも大変貴重な映像となってますので、ぜひ多くの方にご覧いただきたいです。
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知覧基地から死を覚悟して飛び立った若者、そして彼らを見送った当時15歳の少女たち。丁寧に思いが綴られた手紙、その筆致にも心が揺さぶられます…。「女学生が見た戦争―知覧高女生と特攻隊員―」は7月18日まで。ぜひこの機会に家族や友人、大切な人と一緒にでかけてみて。