あちこち編集者がWeb記事をつくるときに考えていること

あちこち編集者がWeb記事をつくるときに考えていること
安田 綾

前回のコラムでは、SNSやAIが当たり前になった今、なぜ取材をして記事をつくるのかについて書きました。今回は、もう少し具体的に。実際に「あちこち」の記事をつくるとき、私が何を大切にしているのかを書いてみたいと思います。

前回のコラム『AIで文章が書ける時代に、Webメディアの編集者が取材で人に会い、話を聞き、記事を書く意味』
https://achi-kochi.jp/column/28795

取材で聞いたことを、そのまま記事にはしない

取材に行くと、たくさんの話を聞きます。商品へのこだわり、開業までのこと、お店を始めたきっかけ、これまでの苦労…。話を聞いていると、「これはぜひ記事に入れたい」と思うことがたくさんあります。
ですが、取材先が伝えたいことと、読者が知りたいことは、必ずしも同じではありません。一方的に伝えたいことを書くのではなく、「この記事を読む人にとって、興味を持てる情報になっているか」と考えながら、内容を整理していきます。 取材先の思いを大切にしながら、読者が知りたいこと、その店に興味を持つきっかけになることは何か。その間に立って情報を整理し、記事にしています。

抽象的な言葉は、なるべく具体的に

記事を書くときによく考えるのが、「その言葉で、読者がイメージできるのか」ということです。
例えば、
「素材にこだわっています」
「一つひとつ丁寧につくっています」
「オシャレな空間です」

こうした言葉は便利で使いたくなりますが、それだけでは、どんなものなのかが伝わりにくいことがあります。そこで取材を深掘りし、実際に見たこと、聞いたことを具体的な言葉に置き換えていきます。

「素材にこだわっています」
→「鹿児島県産の○○を使い、注文を受けてから仕上げています」
「一つひとつ丁寧につくっています」
→「朝に仕込んだ生地を、その日のうちに焼き上げています」
「オシャレな空間です」
→「木の温もりを感じる内装には、さまざまな観葉植物が飾られ、オレンジ色の灯りが店内を照らしています」

このように具体的にすることで、その店ならではの個性が見えてきます。抽象的な言葉を一つ書くより、読者がイメージできることを一つ書く。そのほうが、伝わりやすく、そこにしかない魅力が見えてくると思っています。

「一番」「最高」を簡単には使わない。誇張や事実と違う表現はないか

「県内最大」「最高」「絶対」など、強い言葉を使えば、記事として目を引きやすくなります。ですが、そういう言葉ほど、一度立ち止まって考えるようにしています。
本当に「絶対」なのか。「県内最大」と言うなら、何を基準にしているのか。それを証明できる情報があるのか。
もちろん、事実として確認できることであれば書きます。けれども、根拠が分からない表現や、実際よりもよく見せるための誇張は避けたい。
その場では大げさに見せることができても、あとから記事を読んだ人が実際に体験したとき、「記事に書いてあったことと違う」と感じてしまえば、記事だけでなく、紹介されているお店や企業への不信感にもつながるからです。
言葉で盛るのではなく、実際にある魅力を、どうすれば正確に伝えられるのか。それを考えるのも、編集者やライターの役割だと思っています。

敬語を使うことが丁寧に伝えることではない

記事を書くとき、「丁寧に伝える」ということを意識しています。ですが、丁寧に伝えることは、丁寧な言葉をたくさん使うことではありません。
私たちは、記事の中で「お○○」や「ご○○」を必要以上につけないようにしています。「お料理」「お花」「お味噌汁」「ご紹介」「ご用意」「ご準備」など…。

もちろん、間違った使い方ではありませんが、こうした言葉を重ねすぎると、読者に向けた記事というより、取材先に気を遣った文章のように見えることもあります。過剰にへりくだった表現を重ねるのではなく、読者にとって読みやすく、必要な情報がきちんと伝わる文章になっているのかを考えています。

その店の雰囲気をやわらかく表現したくて、あえて「お花屋さん」と書くこともあります。大切なのは、その文章を誰に向けて書いているのか、どの言葉なら読みやすく伝わるのかを考えること。それが、私が考える「丁寧に伝える」ということです。

加工しすぎた写真でガッカリさせるくらいなら、見たものをそのまま伝える

記事は文章だけでなく、写真についても同じことが言えます。
写真はなるべく、実際に見た色に近い状態で仕上げるようにしています。もちろん、暗く写ってしまった写真を見やすくしたり、写真全体のバランスを整えたりすることはありますが、実際よりもよく見せるための加工や、発色を過度に調整することはしません。

読者が記事を見て、その場所へ行ったときに、「写真で見た印象と違う」とならないためにも、オシャレに見せることだけを優先するのではなく、その場の雰囲気をできるだけありのまま伝える。これも、記事をつくるときに大切にしていることの一つです。


ここまで書いてみると、記事をつくるときに大切にしていることは、どれも特別なことではありません。日々の取材で話を聞き、文章を考え、写真を選ぶ。そうした一つひとつをおろそかにしないことが、記事の精度につながります。

これからも、取材先の魅力を伝え、読者の役に立つ記事をつくっていきます。

「あちこち」では、こうした考えを大切にしながら、日々取材をして記事をつくっています。「実際に取材をして記事で伝えてほしい」というご依頼も承っています。
取材・記事掲載については、こちらで詳しくご紹介しています。
よろしければご覧ください。
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あちこち編集長

安田 綾

aya yasuda

2022年に鹿児島に移住してから、あちこち行っては鹿児島の素敵なところを見つけて楽しんでいます。いろいろな人に会って話を聞けることが嬉しいです。 好きなことは、写真を撮ること。

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